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ブックマーク / hiroyukikojima.hatenablog.com (13)

  • 会話型数学書の成功例 - hiroyukikojima’s blog

    今回は、小山信也さんの数学書『リーマン教授にインタビューする』青土社を紹介しよう。 リーマン教授にインタビューする ゼータの起源から深リーマン予想まで [ 小山信也 ] ジャンル: ・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 数学ショップ: 楽天ブックス価格: 1,944円このは、高度な数学啓蒙書であり、かつ、近現代の数学史の書であり、かつ、数学思想の指南の書でもある。このの良い点は、次の三点に尽きる。 1. 会話型で書かれた数学書として、出色の出来となっている。 2.ゼータ関数をとりまく数論のみごとな総覧的紹介となっている。 3. 数学の思想的な発展がどのような動機と経緯で成されるかが、よくわかる。 以下、もう少し詳しく説明しよう。 実は、ぼくは、会話型の数学啓蒙書や受験参考書のほとんどを評価していない。会話文は簡単、と多くの数学者・数学教育者が思っているふしがあるが、それは単なる

  • abc予想解決と数学の進化 - hiroyukikojima’s blog

    先日、望月新一教授によるabc予想解決が、論文として正式に学術誌にアクセプトされたことが、朝日新聞一面で大々的に報道された。数学の結果がこれほど大きな紙面で報じられたのは今回が初めてような気がする。(記憶では、フェルマー予想のときも、ポアンカレ予想のときもこんなでなかったような)。とにかく、今年の数学界最大のイベントであったと思う。ぼく自身も、望月教授がネット上に論文をアップロードして騒ぎになった2012年にエントリーしているので(abc予想が解決された? - hiroyukikojimaの日記)、この予想の解説についてはそちらで読んでほしい。あるいは、黒川信重さんのの紹介(ABC予想入門 - hiroyukikojimaの日記)のほうでも。 abc予想がおまけとして(系として)得られる宇宙際タイヒミュラー理論(IUT)は、聞くところによると、新しい数学言語を作り上げた、と言えるぐらいに

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    hikabu
    hikabu 2018/01/14
  • 数学の青写真をステキに語った本 - hiroyukikojima’s blog

    今回は、いつものように黒川信重先生のの紹介をエントリーしよう。紹介するのは、『絶対数学の世界』青土社である。 絶対数学の世界 リーマン予想・ラングランズ予想・佐藤予想 [ 黒川信重 ] ジャンル: ・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 数学ショップ: 楽天ブックス価格: 2,160円こののセールスポイントを、ざっくりとまとめると、 (1) 縦書きである。 (2) 数論の歴史がわかる (3) あまり知られていない数学者の伝記がわかる (4) 数学者がどんなふうに青写真を描くのか、を垣間見れる。 書は、青土社の月刊誌『現代思想』に掲載された論考をまとめたものである。だから縦書きなのは当然なのだ。でも、黒川先生にとって、初めての縦書きではないか、と思う。 横道にそれるが、和書は今でも縦書きが主流だ。これは当に解せないことである。ウェブ上のホームページでも、メールでも、会社の書

  • 10を聞いても1しかわからない人のためのゼータ関数入門 - hiroyukikojima’s blog

    8月がこんなに忙しい年は初めてで、今まで、全くブログを更新する余裕がなかった。 今回は、更新できない間に、ちょこまか読んだ数学書、小山信也『素数とゼータ関数』共立出版の紹介をしよう。 【送料無料】 素数とゼータ関数 共立講座 数学の輝き / 小山信也 【全集・双書】 ジャンル: ・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 数学ショップ: HMV&BOOKS online 1号店価格: 4,320円ぼくが、中学生のための受験雑誌『高校への数学』東京出版で素数についての連載をしていることは、何度か書いた。その参考のために、書を読むことにしたのだ。しかし、単なる参考を超えて、このはとてもすばらしいであった。 何がすばらしいか、と言えば、書はゼータ関数のことを、当に丁寧に、至れり尽くせりで解説していることである。 数学書の多くは、「1を聞いて10を知る」人に向けてかかれている。極力、最

  • リーマンについての鼎談と、NHKの番組でのイギリス数学者の発言のこと - hiroyukikojima’s blog

    久しぶりの、そして、今年初めてのエントリー。このブログには、月に最低2回はエントリーをしたいと思ってるんだけど、1月は期末試験やらセンター試験やらでなかなか余裕がなかった。まだ、期末試験の採点の最中だけど、やっとエントリーする時間ができた。今年もできる限り、近況をエントリーしたいと思うので、ご愛読のほどよろしく。 もう原稿の校正も済んだし、出版社からの告知もなされてるみたいだから書いてしまってもいいと思うんだけど、『現代思想』青土社の増刊号で、数学者リーマンの特集号が2月に刊行される予定だ。今年は、リーマン没後150年、生誕190年という年にあたり、その記念の特集である。記事の一つとして、年末に黒川信重先生と加藤文元先生とぼくとで、リーマンについての鼎談を行った。黒川先生は、いうまでもなく、リーマン予想の専門家として、加藤先生は代数幾何の専門家として、それぞれの立場からのリーマン観を語って

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    hikabu
    hikabu 2016/01/20
  • 数学を教える人が読んでおきたい論理の本 - hiroyukikojima’s blog

    ぼくは、以前から、論理とゲーム理論とをクロスオーバーさせたを書きたい、というテーマを持っており、それは拙著『数学的推論が世界を変える〜金融・ゲーム・コンピューター』NHKブックスで果たすことができた。 このを書くために、今まで、けっこうな冊数の数理論理学の教科書を読んできた。その中でめぐりあったのが、ゲンツェンの自然演繹と呼ばれる推論規則のセットであった。推論規則というのは、数学の証明で用いられる推論をできるだけ少ない数でセットにしたもので、おおわくではヒルベルトの体系、ゲンツェンのシークエント計算、ゲンツェンの自然演繹、というのがあって、それぞれの演繹能力は同じだけど、体系自体は異なるので、何をしたいかによって有利不利(向き不向き)がある。この3つの中で、普通の数学の証明で利用されている推論の方法は自然演繹が最も近いものである。 ぼくは自然演繹の体系を、鹿島亮『数理論理学』朝倉書店で

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  • わくわくする物理・わくわくしない物理 - hiroyukikojima’s blog

    数学者の芳沢光雄先生が、図書新聞に拙著『世界は2乗でできている』ブルーバックスの書評を書いてくださった。タイトルは「理科と数学の間にある壁を乗り越えるために〜学ぶ楽しさが教育の発展に繋がる」。とても適切な書評で嬉しくなった。 世界は2乗でできている 自然にひそむ平方数の不思議 (ブルーバックス) 作者: 小島寛之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/08/20メディア: 新書この商品を含むブログ (13件) を見る芳沢先生は、拙著を、「理科と数学を繋いだ」として評価してくださった。実際、このは「数学の定理に現れる2乗」と「物理法則に現れる2乗」とを、始めは別個のものとして紹介にしながら、次第にクロスオーバーさせる、という仕掛けのになっているからだ。 全文を引用してしまいたい誘惑にかられるが、それは営業妨害になろうからやめる。でもこれだけは大事なので引用しておきたい。 「2つの

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  • 古典をひもとく(including 新著の宣伝) - hiroyukikojima’s blog

    またまた、更新がかなり空いてしまった。 を読んでいれば、紹介のエントリ−が書けるのだけど、最近は紹介できるようなを読んでないので、それも無理だった。 でも、もうあと2週間ほどで新著『数学的決断の技術〜やさしい確率で「たった一つ」の正解を導く方法』朝日新書が刊行されるので、その宣伝もかねて、少し何か書こうかと思う。 実は、音楽のほうもずっと新しいお気に入りがみつからず、Automatic Loveletterばかり聴いてたんだけど、最近、突然に、はまってしまったバンドがある。それは、Tricotという日のバンドだ。これは、TSUTAYAでDVDを物色しているとき、店内のDJでプッシュされており、たった30秒ほど曲がかかっただけなんだけど、耳にした瞬間、雷に打たれたような激しいショックを受けた。そんで、帰ってすぐにyoutubeで何曲か聴いて、すぐにアマゾンにアルバムを注文した。 Tri

  • 統計的推測に最新の現代数学のトッピング - hiroyukikojima’s blog

    いんやー、テイラースィフトに惚れきってしまって、2枚のアルバムを交互にリピートしてる状態。日の演歌は苦手なんだけど、なんだかアメリカ音楽ではカントリーがぐっとくる。スィフトちゃんは、ミッシェルブランチ以来のマイブーム。とりわけ、「チェンジ」のプロモはすごい、北川景子がカントリーを熱唱してるみたいで、めちゃめちゃ好みだ。今もスィフトちゃんを聴きながら、これを書いてる。 と言っても、今日の話題は全く音楽とは別。最近、ざっと目を通した渡辺澄夫『代数幾何と学習理論』森北出版の紹介だ。 代数幾何と学習理論 (知能情報科学シリーズ) 作者: 渡辺澄夫出版社/メーカー: 森北出版株式会社発売日: 2006/04/27メディア: 単行購入: 10人 クリック: 465回この商品を含むブログ (5件) を見る こののすごさがどこにあるかってぇと、それは「卓越したサーベイ能力」というものにつきる。一般に

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  • 女子系数学書の誕生〜「式で書けること」と「計算できること」は違う - hiroyukikojima’s blog

    昨日(12月20日)の日経の朝刊に、ぼくの書いたマーシャ・ガッセン『完全なる証明』文芸春秋社の書評が掲載されたのだけど、読んでいただけただろうか。ぼくの新聞書評デビューとあいなった。これは、ポアンカレ予想のペレルマンによる解決にまつわるルポルタージュなんだけど、我ながら良く書けたと思う。アマゾンの在庫がいっぺんになくなったのは爽快だった。しかし、そんなに人のを売ってどうするね。とほほ。 この頃、書評の才能があるかも、などとほのかにうぬぼれることもあるけど、アフィリエイトとやらはやってないのだ。どうやれば申し込めるかわからない、というのが大きな理由だけど、笑い、それよりも書評で金を稼げるようになると、詰まらないまで躍起になって薦めそうで、自分のせこさが露出するようで嫌なのだ。ここでは、(自分のの宣伝以外には)邪心なしに、ほんとに気に入っただけを紹介したいと思ってる。楽しみのために書い

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  • 0.999・・・は1と等しいか - hiroyukikojima’s blog

    刊行からだいぶたってしまったが、吉永良正さんの『アキレスとカメ』講談社というたいへん楽しいを紹介しよう。 吉永さんは、ぼくが東京出版の受験雑誌『大学への数学』や『高校への数学』に連載し出した頃、同じように連載を持った人だが、サイエンスライターとしては大先輩であり、すばらしいをたくさん書き、また翻訳もしている。現在は、大東文化大学の先生をされているので、ライターから大学教員になった、という経歴も似ており、勝手に親近感を抱いている。何度か対談をさせていただき、いっしょにお酒を飲んだこともあるので、知人と言ってもいいと思う。ライターとして気骨を持ったかたで、物書きとして生きていく上での心構えなどを教えていただいた。 アキレスとカメ 作者: 吉永良正,大高郁子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/07/02メディア: 単行購入: 19人 クリック: 395回この商品を含むブログ (1

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  • 隠れて物理を勉強する - hiroyukikojima’s blog

    ちょっと前から隠れて物理を勉強している。使っているは、山義隆『新・物理入門』駿台文庫、である。出版社名を見ればわかる通り、これは高校生向けの参考書である。 物理を勉強したいのは、研究上の必要と個人的な興味と両方なのだが、研究上必要な部分については、ちゃんともっと専門的なで勉強しているので、このを読んでいるのは個人的な興味のためである。そもそもは、熱力学や統計力学のことをわかりたくて、畏友の物理学者・加藤岳生にいろいろ根掘り葉掘り質問していたら、彼が「小島さんの疑問に答えられる最もいいは、山さんの参考書ではないか」といったのだ。そして、「高校生向けの参考書だけれど、普通の大学生向けの物理の教科書には書いていない根源的な問いに関する説明が試みられている名著ですよ」とも付け加えてくれた。それで買ったのだ。ぼくは、拙著『算数の発想』NHKブックスや『ゼロから学ぶ線形代数』講談社などに、

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    hikabu
    hikabu 2008/04/07
  • ガロアの定理をわかりたいならば - hiroyukikojimaの日記

    数学書の読みやすさとは、人によって違うと思う。それは、「わかるツボ」というのが人によって違うからだ。幾何的なイメージなしには進むことができない人もいれば、むしろ逆に、非常に形式化されてがちがちに論理的な進み方をしないとわかったような気がしない、という人もいると思う。だから、何か数学的な知識の必要があった場合、何冊にもチャレンジして自分に合った教科書を探すのがベストだと思う。 ただ、最大多数にわかりやすい数学書となると、数は限られてくる。数学を書くのを生業としているぼくでさえ、「よくわかる」と出会えることは滅多にない。そんな中、最近になって出会って、すばらしいと思っているのは草場公邦先生のである。以下の三冊を読んだ。 ガロワと方程式 (すうがくぶっくす) 作者: 草場公邦出版社/メーカー: 朝倉書店発売日: 1989/07/01メディア: 単行購入: 24人 クリック: 614回こ

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