新日本監査法人の季刊誌、IPOセンサー2006年1月号に掲載いただいたコラムです。 *** シリコンバレーでソフトウェア産業に携わる人たちを見て感心するのは、「地に足の着いたこまごまとした開発」と、「個別の開発を思い切り抽象化した包括的ビ ジョンの構築」との間を、自在に行ったり来たりする能力だ。アプリケーションの開発は、コードをがりがりと書く仕事。一方で、アーキテクチャをしっかりと 作り上げるには、個別の開発から何段階も次元を上げ、高いところから俯瞰する哲学的思考が求められる。そしてその両方を行き来することで技術が進歩する。 「現実の泥沼をかき分けて進む力」と、「体系化する力」の両方が求められる、知的力仕事だ。 一方、これをソフトウェアを使うユーザの側から見ると、「概念形成期には抽象的で難しいものでも、それがアプリケーションに落とし込まれた暁には、非常に簡単でわかりやすいものになっている」