国会の荒涼たる風景に怒りを禁じ得ない。国民の代表である「国権の最高機関」で、民意が踏みにじられる異常さ。取り戻すべきは、民主主義である。 いったい、この臨時国会は何だったのか。召集日の十月十五日を振り返る。安倍晋三首相は、所信表明演説で「この国会は、成長戦略の『実行』が問われる国会です」と強調していた。
国会の荒涼たる風景に怒りを禁じ得ない。国民の代表である「国権の最高機関」で、民意が踏みにじられる異常さ。取り戻すべきは、民主主義である。 いったい、この臨時国会は何だったのか。召集日の十月十五日を振り返る。安倍晋三首相は、所信表明演説で「この国会は、成長戦略の『実行』が問われる国会です」と強調していた。
特定秘密保護法案が衆院で審議入りした。国家が国民の思想の領域まで踏み込む恐れがある。国会議員は今こそ良識を発揮して、廃案にしてほしい。 潜水艦の潜水可能な深度、テロ情報収集のための情報源、公電に使われる暗号…。自民党はホームページで、秘密保護法案により漏えいを禁じる特定秘密の具体例を挙げている。 国家が秘密にしたい事例として、納得する人も多いだろう。だが、秘密に該当しない情報さえ、恣意(しい)的に封殺しうるのが、この法案である。行政機関の「長」が「秘密」というワッペンを貼れば、国民から秘匿できるのだ。
特定秘密保護法案が近く提出される。「知る権利」が条文化されても、政府は恣意(しい)的に重要情報を遮蔽(しゃへい)する。市民活動さえ脅かす情報支配の道具と化す。
見出しの「侮辱」とは極めて強い言葉です。ひどい扱いを受けた者の発する言葉です。政治にせよ、原発にせよ、私たち国民は、侮辱されてはいないか。 手元に一通の手紙があります。学校で国語を担当されていた元先生からです。この夏、東京であった脱原発の市民集会に出かけた時のことが記されていました。
橋下徹大阪市長が設立を宣言した新党「日本維新の会」は二十三日、国会議員らとの二回目の公開討論会を開く。既成政党批判を前面に、次の衆院選に臨む構えだ。だが、選挙手法や彼らが掲げる「政治主導」は、国民の多様な意見が反映されにくくなる懸念も浮かぶ。 (金杉貴雄) 維新の会は、次期衆院選に三百五十人から四百人擁立するとしている。資金繰りが課題だが、橋下氏は「自分のお金で、自己責任でやってもらう」と自己負担を求めている。 選挙には事務所費や印刷代などで「少なくとも一千万円」(衆院議員秘書)かかるとされる。供託金も小選挙区で三百万円、比例代表に重複立候補すれば六百万円かかる。 自己負担だと、候補者は一定以上の資産や所得を持つ人に限られる。幅広い人材を確保できるかという問題とともに、社会的に弱い立場の人に配慮する候補者が集まりにくくなると心配されている。新自由主義の傾向が強い綱領「維新八策」と相まって、
民自公三党が「一体改革」法案の修正に合意した。社会保障の抜本改革を棚上げするなど一体改革には程遠いにもかかわらず、消費税は上げるという。この際、増税も棚上げすべきではないのか。
国民の生活を守るため、野田佳彦首相は関西電力大飯原発3、4号機を再稼働させるというのだろうか。国民は知っている。その手順が間違っていることを。このままでは安心などできないことを。
民主党が衆院定数を小選挙区で五、比例代表で八〇削減する案を決めた。「一票の格差」是正は当然だが、小政党を切り捨てる比例削減よりも議員歳費と政党交付金の減額を優先させるべきだ。
政府は武器と関連技術の輸出を禁止している「武器輸出三原則」の緩和を二十七日、官房長官談話の形で発表する。野田内閣は国会論議もないまま、「平和国家」の看板を下ろそうというのか。 三原則見直しが本格化したのは政権交代後である。自民党政権では官房長官談話で巡視艇供与を認めた例はあるが、民主党政権は三原則を歯止めなく緩め始めた。 菅内閣は今年六月、日米で共同開発を進めているミサイルの第三国への輸出を認める方針を米国に伝えた。二十七日の談話発表は、三原則緩和の第二弾にあたる。(1)米国や友好国との国際共同開発・生産への参加(2)自衛隊が国連平和維持活動(PKO)などの海外派遣で使用した装備品の人道目的などの供与─を可能にする。
交渉ごとで相手を思い通りに動かし、説得するには、三通りの方法しかないと明言する本がある。<合法的に脅す><利益を与える><ひたすらお願いする>。最も有効なのは<利益を与える>ことだと断じている▼『図説心理戦で絶対負けない交渉術』の著者は橋下徹氏。大阪府知事になる前の弁護士時代に書いた。北海道大学の中島岳志准教授がインターネットサイト「マガジン9」の連載で、この本を基に橋下氏の政治手法を分析しているのが興味深い▼中島准教授が着目するのは、「仮装の利益」という考え方が強調されている点だ。簡単に言うと、実際には存在しない利益をレトリックで生じさせ、要求をのませる交渉術だ▼譲歩を演出し、利益を得たと錯覚させる手口。批判が噴出している教育基本条例案でも、その手法は発揮された、と中島准教授は指摘する▼大阪市長選が告示され、知事選とのダブル選挙が盛り上がっている。既成政党や労組が現職の平松邦夫氏を支持す
想像してみてほしい。深刻な食中毒を引き起こしたばかりのレストランの経営者が、同業者の会合で「食品衛生の高い技術を提供する」と言ったら、一体、どう思われるか▼しでかしたのは、はるかに重大な失敗なのだから、野田首相の方が一層、奇異だろう。国連の会合での演説で「原子力利用を模索する国々の関心に応える」と述べ、原発輸出継続の意向を表明した▼脱原発、原発維持のどちら側ともつかず、なるほど“ノーサイド首相”らしくもあった野田さんだが、最近、少し維持サイドに傾く気配。米紙に対しても、定検中の原発について「来年夏に向け再稼働できるものはさせる」と▼地元には、「安全性の確保とか国が責任を持つといった説明」をするというが「絶対安全」などあり得ぬこと、あの原発事故で国民は百も承知。首相はどうやって、その、ないものに「責任を持つ」のか▼無論、「絶対安全」がないのは原発に限らない。風力発電の風車だって絶対脱落しない
震災被害者、原発避難者の日常生活を取り戻して「生きる権利」を守ることは当面の最優先課題です。復興で日本の民主主義の成熟度が試されます。
国会で教育関連三法案の審議が本格的に始まる。国の地方教育行政への関与や教員免許更新制、義務教育の目標規定など、教育現場への影響が大きい。管理強化にならないよう議論を尽くすべきだ。 与党は野党の反対を押し切って衆院に三法案を集中審議できる特別委員会を設置した。教育再生を最重要課題に挙げる安倍政権が参院選をにらんで今国会での法案成立を急ぐためだが、今後の教育を左右する重要な内容ばかりだ。広く深い意見をくみ上げて丁寧に審議を進めるよう求めたい。 焦点となるのは、文部科学相の教育委員会への指示権を盛り込んだ地方教育行政法改正だ。この点については、二〇〇〇年施行の地方分権一括法で削除された文科相の要求権に代わる権限復活につながり、地方分権に逆行するとの反対論が強く、生徒の生命・身体の保護が緊急に必要な場合に限定された経緯がある。
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