先日、ある講演会で、交換的正義と配分的正義という言葉を聞いて、ありゃアリストテレスだったよなあと『政治学』や『ニコマコス倫理学』をめくってみたけれども、ここのところ忙しくて読書に打ち込めず、両者の位置づけがよくわからなかった。 それならばお手軽な新書の解説はというと、岩田靖夫『いま哲学とはなにか (岩波新書)』では並列的に記されており、学生時代以来、手元に置いて便利してきた山本光雄『アリストテレス――自然学・政治学 (岩波新書)』では交換の正義を「或る意味では、配分の正義の一種とも見ることができよう」と位置づけているが、これもなんだかよくわからない。そこで、アリストテレスならもしや神学者の方が詳しくはないか、と気づいて、都合よく書店にならんでいた稲垣良典氏の新刊を開いたら、ありがたいことに手際のよい解説が出ていた。 トマス・アクィナス 『神学大全』 (講談社選書メチエ) 作者: 稲垣良典出
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