12月なかばの利根川の水は、痺れるくらいに冷たかった。 辺りはだだっ広い砂利の河原。寒風に晒されるススキが辺りの光景を一層寒々としたものにしている。この河原には捨てられたゴールデンレトリバーが住みついているとかで、湿った土の上に、大きな犬の足跡が残されている。「人間を見ると嬉しくて走ってくるからびっくりしないでくださいね」。同行した地元の人が教えてくれたものの、吹きっさらしの河原に犬の姿はない。風が強く、暮れかけた冬の川辺は、立っているだけで震えが止まらないほどだ。河原の砂利の上には二本、くっきりとタイヤの痕が残されている。その痕は、そのまま川の中に続いている。 利根川の河原に残ったタイヤの痕。 11月22日未明、この川に、親子三人を乗せた車が突っ込んだ。同日朝、81歳の女性が川に浮いているのを近隣の人が見つけるが、既に死亡。その近くでは、女性の三女(47歳)が座り込んでおり、低体温症で病