2014年、空き家率が過去最高の13.5%になったことが大きく報道されました。増加の一途をたどり、地域の活力を奪うとされる日本の「空き家問題」。しかし一方で、空き家を地域再生の手がかりとして活用する都市や、空き家を利用してあらたに事業をはじめる人々が増えています。空き家を使った地域再生の秘訣とは何か──日本に先行する縮小都市であるドイツのライプツィヒにおいて、空き家を活用した地域再生の事例を紹介してきた大谷悠氏が、今度は尾道の空き家再生プロジェクトの事例を紹介します。 「日本遺産」と「空き家問題」 尾道は瀬戸内を代表する風光明媚なまちです。中世以来、尾道と向島の間にある尾道水道(瀬戸内海)に面した港町として栄え、特に近代化の過程で物流の拠点となり、商人たちが明治以降に社寺に寄進すると共に見晴らしの良い山手地区に別荘を構えてきました。こうしてのどかな瀬戸内海と神社仏閣と民家が並び立つ山手地区