このたび『淡島千景 女優というプリズム』に収録された拙論「宝塚娘役スターとしての淡島千景と手塚治虫『リボンの騎士』」の執筆のための資料閲覧・調査に際しては、もっぱら大阪府立国際児童文学館と阪急池田文庫のお世話になりました。専門的な資料群が体系的に収集・保管され、適切な形で閲覧できるアーカイヴは、人文社会学系研究者にとっての生命線ともいうべき存在であり、大阪府立国際児童文学館の廃止が、拙速としかいいようのないプロセスによって決定されてしまったことは、まさに痛恨の事態です。「資料収集・保管・研究・閲覧の機能を維持しつつ移転」という課題をいかに実現しうるかについての展望はいまだに示されず、不安が募るところではありますが、各方面にとってより良い落としどころを模索するために、今後も事態の観測を続け、可能な限りの尽力を惜しまない所存ではあります。 過去二度に渡って国際児童文学館支援のための有志を募った