性同一性障害を乗り越え、バーチャルアイドル「初音ミク」の実写版として世界からも注目される歌手が大阪にいる。手術で女性に生まれ変わった麻倉ケイトさん。ミクの衣装で、つらい障害を乗り越えた体験談と歌を披露するトークショーが教員らの間で話題となったのをきっかけに、大阪から近畿各地へと活動の幅が広がっている。背景には教育現場で増える性同一性障害の子供に対するケアの充実を図ろうとする国の動きがある。一方、インターネットを通じて麻倉さんの活動を知った海外のイベンターからの出演依頼も殺到。夢は「性別や国籍を越えた世界のスーパースター」だ。 (北村博子) スカートが履きたい 「『男性の体』に閉じ込められた感じがしました。両親にも言えず、身近な大人である先生と秘密の共有がしたかった」 8月上旬、大阪市天王寺区のホテルで行われた人権教育の勉強会。詰めかけた小中高校の教諭ら200人以上が真剣なまなざしで見つめる