3月9日投開票の韓国大統領選で、野党第1党で保守「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前検事総長が当選した。焦点は親米路線に戻るかだ。韓国観察者の鈴置高史氏は「容易ではない」と見切ったうえ「韓国は李朝末の混乱期にどんどん似てきた」と言う。 Quadが試金石 米国側に戻るか、を計る最大のポイントはQuadに参加するかである。Quadは対中包囲を念頭に置いた「日米豪印」の4カ国の枠組みだ。中国に気兼ねする文在寅(ムン・ジェイン)政権は、米国に誘われてもQuadに入らなかった。 少し前まで米国は「日米韓」を土台にアジアの安全保障の枠組みを作っていたことを考えると、隔世の感がある。当然、米国は韓国が保守政権に回帰したのを機にQuad参加を表明すると期待している。 ところが選挙期間中、親米を唱える尹錫悦氏はQuadに関し腰が引けた発言に終始した。「Quad傘下のワクチンなどのワーキング・グループに