レイ・ダリオ『世界秩序の変化に対処するための原則』を2回に分けて紹介してきたが、最後にその最も重要な結論について考えてみたい。 この著作は、2023年09月に日本語版が刊行されたが、原語版は2021年11月30日の出版となっている。執筆されているのは、まさに世界で新型コロナ感染症がなお拡大している時期である。中国は未だに全感染者数の実態も公表していないが、各国と同様大きな被害が出ていたことは疑いない。 そして、2022年12月7日に、中国は「ゼロコロナ」政策を、突然理由も明確にしないまま大幅に緩和した。「ゼロコロナ」政策の時期に、中国経済は深刻な打撃を受けたが、その影響があまりにも大きく、政策の大転換後も経済の回復には至っていない。 さらに、今中国で不動産バブルの崩壊が起こりつつある。これまで中国を牽引してきた不動産企業は深刻な経営危機に陥り、この危機が不動産企業に融資していた金融機関に波