ブータンの国民議会総選挙の投票に訪れた人たち=1月9日、ティンプー(共同)【シンガポール=森浩】ヒマラヤ地域のブータンで9日に国民議会(下院、47議席)選の投開票が行われ、選挙管理委員会は10日、野党の国民民主党が勝利したと発表した。ブータンは経済低迷で失業率が上昇し、若者の国外流出が問題化。対外的には中国による領土拡張にも直面する。精神的な豊かさを重視する「国民総幸福量(GNH)」を提唱した「幸せの国」は岐路に立っており、新政権のかじ取りが注目される。 議会選は、昨年11月の予備選を勝ち抜いた上位2党で争われ、2013~18年に首相を務めたツェリン・トブゲイ氏率いる国民民主党が30議席を獲得した。選挙前に任期満了で退任したロテ・ツェリン前首相率いる与党の協同党は予備選で敗れ、本選に進出できなかった。 選挙戦の焦点は低迷する経済だった。ブータンは新型コロナウイルス禍で主要産業である観光業が