それは海に浮かぶ教会だった。ブリッジに十字架を掲げた「真光丸(しんこうまる)」は、船内に約60人収容の礼拝堂があった。昭和37年から約14年間、大阪・泉佐野を拠点に大阪湾周辺の漁港を巡ったキリスト教伝道船である。 「真光丸が来ています。集会に参加してください」 キリスト教伝道船「真光丸」船内の礼拝堂で伝道師の話に耳を傾ける子供たち=昭和39年(中村栄志さん提供) 大阪南部、淡路島、和歌山北部、ときには三重や小豆島にも遠征した。寄港地では夕方に子供、夜は大人向けの集会を開いた。着岸すると乗組員らはハンドマイクを手に歩いて参加を呼びかける。子供たちは「キリストのオッチャンが来た」とついて歩いた。 「クリスマスは階段まで椅子にしたほどで、船が沈みこんで心配しました」 乗船伝道師だった中村栄志さん(79)=大阪府阪南市=は、懐かしそうに当時を振り返った。
![【わたつみの国語り 第4部】(6)戦後の漁村伝道 神仏の荒波にもまれた「教会船」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/dd78e5c17df3e90cd57f85ec60a21ccec27bcadf/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.sankei.com%2Fresizer%2FIDWuJ9o_0mhyAUUAz8hWJmGIwoQ%3D%2F1200x630%2Ffilters%3Afocal%28484x154%3A494x164%29%3Aquality%2850%29%2Fcloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com%2Fsankei%2FGZ2DIFYKTFOPPHMEALAYKKUIE4.jpg)