バルト三国の一つ、リトアニアのオーレリウス・ジーカス駐日大使のクリスティーナ夫人が産経新聞のインタビューに応じ、日本人の秩序や清潔さを維持する姿勢に感銘を受けていると語った。また、四季を通じ、自然をめでる日本人の感性をたたえた。 満員電車なのに静寂――日本滞在で目を開かれたことは 「日本は古い伝統を現代のものと組み合わせて維持している点が素晴らしいですね。1億2500万人が共に暮らしている中で保たれる秩序、清潔さを維持する心掛け、さまざまな宗教が共存している点、どれにも驚かされるし、不思議にさえ思う。例を挙げると、高層ビルの間に点在する居心地の良い寺院、満員電車の中の静寂さ、ごみ箱がないのに美しい公共の場など。生活面では、玄関で外履きを脱いで、室内用のスリッパを履き、お手洗いではまた、別のスリッパに履き替えます…」 「日本人のきちょうめんさ、礼儀正しさには驚かされます。礼儀正しさは日本人に
インタビューに応じるリトアニアのオーレリウス・ジーカス駐日大使=6月29日、東京都港区元麻布のリトアニア大使館(酒巻俊介撮影) 東京都港区元麻布にあるリトアニア大使館には自国旗に加え、ロシアによる侵略が続くウクライナと、ロシアに制裁措置を取る欧州連合(EU)の旗が掲げられている。ロシアへの対決姿勢を鮮明にする背景には、リトアニアに刻まれた旧ソ連時代の負の記憶があるからだ。当時を知るオーレリウス・ジーカス駐日大使(44)は「まるで刑務所」と振り返り、ロシアとの間で領土問題を抱える日本に警鐘を鳴らす。 苦い記憶受け継ぐリトアニア大使館は、麻布十番駅から徒歩約15分の高台にある。レンガ造りの建物にかかる「EMBASSY OF THE REPUBLIC OF LITHUANIA」の銀板が印象的だ。 大使館には黄、緑、赤の3色のリトアニア国旗がはためく。この三色旗は、18世紀から続いた帝政ロシアの支
バルト三国の一つ、リトアニアのオーレリウス・ジーカス駐日大使が都内で産経新聞の取材に応じ、旧ソ連を構成する共和国だった時代の迫害の記憶について語るとともに、ウクライナを侵略するロシアに関し「戦争をするような国と私たちは貿易をしない」と決然たる姿勢を示した。 --リトアニアにはソ連時代の負の記憶が残る 「どの家庭でも、年配の親戚たちのほぼ100%が迫害の経験を持つ。シベリアへの追放、投獄、KGB(国家保安委員会)による殺害。パルチザンとしてソ連に抵抗した『森の兄弟』たちの犠牲者は約2万人に達する。悲しい話だ。ソ連からの独立運動が高まった1991年、ソ連軍が侵攻した『血の日曜日』事件のとき、私は12歳だった。生の記憶だ。そんな時代が二度と来ないようにとウクライナを支援している」 --官民挙げてのウクライナ支援は際立つ 「300万人弱の国家ながら、官民の支援額は8億ユーロ(約1140億円)だ。高
中国の脅威にさらされている台湾に民主主義の連帯を象徴する新たな拠点が正式に開設した。この動きを歓迎したい。 拠点とはバルト三国リトアニアの「リトアニア貿易代表処」で同国の駐台代表機関となる。台湾の外交部は「台湾とリトアニアは権威主義に最前線で立ち向かうパートナーだ」と正式開設を歓迎するメッセージを発表した。 代表処の正式開設が発表された7日には、多数の中国軍機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入した。こうした中国の不当な圧力は到底許されない。 ソ連共産党政権に支配された過酷な経験をもつリトアニアは、民主主義や人権を尊重する「価値の外交」を掲げ、欧州で対中批判の先頭に立っている。昨年11月に台湾はリトアニアの首都ビリニュスに欧州で初めて「台湾」の名称を冠した代表処を開設した。 中国はリトアニアとの外交関係を格下げし、リトアニア産牛肉の輸入を停止する報復措置を取った。中国共産党機関紙、人民日報
「バルト三国」の最も南に位置するリトアニア共和国。人口約280万人は3カ国では一番多く、面積(6万5000平方キロメートル)はラトビア共和国とほぼ同じだ。 リトアニアもロシア帝国の支配を受け、1918年に独立を宣言したが、40年には再びソ連に併合される痛恨の歴史を歩んできた。 ソ連邦時代の89年8月23日、バルト三国は独立の強い意思を示すため、北はエストニアからラトビアを通ってリトアニアまで、約200万人が約600キロにわたって手をつなぐ人間の鎖「バルトの道」という世紀の一大イベントを実施した。その日は「独ソ不可侵条約50周年」で、ソ連に組み込まれることが密約された忌むべき日であった。 リトアニアは1990年の独立回復宣言から、2004年3月のNATO(北大西洋条約機構)加盟、同年5月のEU(欧州連合)加盟を、エストニア、ラトビアと足並みをそろえてきた。
フィンランド、スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟申請により、バルト海ではロシアとの緊張が高まる。沿岸のNATO加盟国は軍備増強を急ピッチで進めている。 ポーランドは今春成立した国防新法で、兵力を倍増し、30万人規模にする計画を決めた。5月、全国で新兵採用キャンペーンが始まった。 30万人のうち5万人は志願兵とする方針。28日間の基礎訓練後、随時訓練や任務に就く制度で、ウクライナ侵攻後に希望者が急増した。政府は公務員としての採用優遇などの措置で、参加を促している。新法では、国防費を国内総生産(GDP)の3%にすることも定められた。 スウェーデンは3月、国防費をGDPの2%に増額する方針を発表した。「GDP比2%」は、NATOの目標値でもある。 スウェーデンはロシアの脅威増大に応じて2017年に徴兵制を復活させ、動員兵力を6万人から9万人にすることを目指す。バルト海では15年、機能
バルト3国の一つであるリトアニアはロシア産ガスの輸入を2日に停止した。3日までに発表した。ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、エネルギーのロシア依存脱却を目指していた。ナウセーダ大統領は「今月からリトアニアにロシア産ガスは存在しない。われわれができるなら、残りの欧州もできる」とツイッターに投稿し、他の欧州諸国も輸入をやめるよう要請した。 リトアニアのエネルギー省は声明で「ロシアのガス大手ガスプロムから供給を受ける欧州連合(EU)加盟国で初めて、ロシア産ガスからの『独立』を果たした」と強調した。 リトアニアはこれまで、ロシアのウクライナ侵攻に協力したベラルーシを経由するパイプラインを通じてガス供給を受けてきた。今後はクライペダ港にある液化天然ガス(LNG)の基地からリトアニア全土にガスを供給し、需要は満たされるという。(共同)
【ロンドン=板東和正】ウクライナ情勢が緊迫化する中、英国のウォレス国防相は7日、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の東欧ポーランドに軍隊350人を増派すると発表した。 ドイツのランブレヒト国防相も同日、NATO加盟国でバルト3国のリトアニアに最大350人の兵士を近日中に増派すると述べた。ロイター通信によると14日から開始する予定。 英国はすでにポーランドに約100人の英陸軍工兵隊を駐留させている。ドイツも今回の増派とは別に、リトアニアに約500人の兵士を派遣している。 ウォレス氏は7日、「英国とポーランドは一体だと強いシグナルを送る」と表明。ロシアがウクライナに侵攻すれば、厳しい制裁と孤立に加え「プーチン大統領が最も望まないNATO増強」に直面することになると警告した。
【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)欧州委員会は27日、中国がリトアニアに課している貿易規制は、世界貿易機関(WTO)の協定違反だとして提訴したと発表した。リトアニアは昨年11月に「台湾」の名を冠した代表部設置を受け入れた後、中国の経済圧力にさらされており、欧州委はEU単一市場にも影響が及んでいると主張している。 欧州委は声明で、中国がリトアニア発の輸入品の税関手続きを拒否しているうえ、EU企業が中国に輸出する際、供給網からリトアニア製品を外すよう圧力をかけていると主張した。中国はリトアニアに対する貿易規制の存在を認めていないが、声明は「さまざまな証拠がある」と明記した。 中国は、リトアニアが「台湾」の名称を認めたのは「一つの中国政策に反する」と強く反発してきた。リトアニアの輸出額全体に占める中国の割合は約1%にとどまるが、経済報復の打撃は、リトアニアと取引のあるEU企業に拡大。ドイツの自動
中国は、リトアニアへの不当な圧力を撤回すべきだ。 台湾は昨年11月、リトアニアの同意のもと「台湾」の名前を冠した出先機関「台湾代表処」を設置した。 共産主義国家のソ連に併合され、長く抑圧されたバルト三国のリトアニアは自由と民主主義などの基本的価値を重視し、全体主義による人権弾圧問題に敏感だ。 リトアニア議会は昨年5月、「新疆ウイグル自治区でジェノサイド(民族大量虐殺)がある」とした対中非難決議を行った。リトアニアは同月、中国が中東欧で進める経済協力の枠組み「17+1」から離脱した。さらに、台湾に約25万本の新型コロナウイルスワクチンを提供するなど友好関係を深めている。 中国は「台湾代表処」設置は「一つの中国」の原則に反すると非難した。中国外務省報道官は「リトアニアは歴史のゴミ箱にたたきこまれる」とののしり、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は社説で「リトアニアのような小国が大国との関係
中国と台湾の旗(ロイター)【台北=矢板明夫】台湾が中国からの経済的な圧力を受けるバルト三国の一つ、リトアニアを全面支援する姿勢を打ち出した。中国は、「台湾」の名前を冠した出先機関の開設を認めたリトアニアとの貿易をとめる動きをみせている。台湾当局はこれに対し、リトアニアを含むバルト三国を中心に投資するための総額2億ドル(約230億円)の基金の設置を表明。中台間で駆け引きが激しさを増してきた。 基金の設置は、台湾の駐リトアニア代表(大使に相当)の黄鈞耀(こう・きんよう)氏が7日までに、地元メディアに対して明らかにした。台湾の行政院(内閣)に属する国家発展委員会が出資する。黄氏は「半導体、生物化学分野などへの投資を優先し、今年中に具体的な経済効果を期待している」と語った。 中国側は否定しているものの、中国はリトアニアからの出荷品の通関を差し止める報復に出ている。台湾メディアによれば、台湾当局の影
【パリ=三井美奈】バルト三国の一つ、リトアニアの政府内で親台湾外交をめぐる対立が起きている。ナウセーダ大統領は4日、昨年11月に国内に設置された台湾当局の代表機関に「台湾代表処」の名称を認めたのは「過ちだった。私は関与しなかった」と主張。ランズベルギス外相は「すべて大統領とともに決めた」と反論した。内政バトルに中国と米国が「参戦」し、場外戦に発展している。 一連の発言は、リトアニア公共放送LRTなどが報じた。ナウセーダ大統領は、代表機関の設置自体は正しいとしながら、「名前が問題。対中関係に大きな打撃を与えた」と発言し、ランズベルギス外相に打開策を示すよう求めた。これに対し、同外相は「リトアニアは悪いことをしていない。価値観に基づいて方針を決めたため、罰を受けている」と述べ、中国がリトアニアに「報復」として経済圧力を加えていることこそが問題と主張している。 大統領と外相の対立について、ビリニ
旧ソ連バルト3国議員団の一員として、今月初めまで台湾を訪問したリトアニアのマタス・マルデイキス国会議員が産経新聞のインタビューに応じた。「台湾を威嚇(いかく)する中国の手法は、欧州の小国を揺さぶるロシアと同じ。台湾の民主主義が崩壊すれば、ドミノ現象で欧州にも波及する」と述べ、台湾支援の重要性を訴えた。 リトアニアは11月、台湾当局の大使館に相当する「台湾代表処」の設置を欧州連合(EU)で初めて受け入れた。マルデイキス氏はリトアニアの第一与党、祖国同盟に所属し、国会の「台湾関係委員会」の委員長として、エストニア、ラトビアの国会議員に呼びかけ、バルト3国議員の訪台団を組織した。 マルデイキス氏は、約1週間の訪台期間に、蔡英文総統ら要人と会談したことを振り返り、「台湾は中国のサイバー攻撃や情報戦、軍事威嚇に直面している。われわれがロシアの脅威にさらされている状況と、極めて似ていることに驚いた」と
【読売新聞】 【ワシントン=蒔田一彦】米国のブリンケン国務長官は22日、欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表(EU外相)と電話会談し、中国が圧力を強めているリトアニアを共同で支持することを確認した。緊張が高まって
【台北=矢板明夫】台湾はニカラグアが断交を発表したことを受け、中南米で外交関係を維持する国々が「ドミノ倒し」のように動くことを警戒している。中国が台湾の孤立化を図る中で、蔡英文政権は自由や民主主義など価値を共有する国々との関係強化を図る「価値観外交」を強めていくとみられる。 蔡総統は10日、「台湾の民主主義が成功するほど、国際的支持が高まり、独裁主義の国からの圧力も強まる」との認識を示し、「自由と民主主義を堅持し、世界に向かって行進し続ける決意は変わらない」と記者団に語った。 ニカラグアに台湾は経済協力なども行ってきたが、断交となった。海外での駐在代表経験を持つ外交評論家、趙麟氏は「台湾より多くの経済支援をして外交関係を『買う』のは中国の常套(じょうとう)手段」と語る。中米では11月末の大統領選で親中派候補が勝利したホンジュラスが、ニカラグアに続くことも懸念される。 ただ、リトアニアなどの
【北京=三塚聖平】中国外務省は21日に発表した声明で、リトアニアとの外交関係の格下げを決めたと表明した。リトアニアが18日、首都ビリニュスに「駐リトアニア台湾代表処」(大使館に相当)の開設を認めたことへの対抗措置。 中国外務省は「強烈な不満と厳正な抗議」を表明しており、リトアニアに経済面などでさらなる報復措置をとるかが注視される。 中国は、リトアニアに大使を置かず代理公使を派遣する。声明は「中国人民の国家主権と領土を守り抜く不屈の決心や固い意志、強大な能力を過小評価してはならない」と強調し、リトアニアに直ちに「誤りを正す」よう求めている。 また、台湾側には「外国勢力をバックに立場を強め、政治を弄べば、最後は自滅の道となるだろう」と恫喝(どうかつ)した。 リトアニアは台湾との関係強化に動いている。今回、台湾が欧州に置く代表機関として初めて名称に「台北」ではなく「台湾」と明記された。中国外務省
【北京=三塚聖平】中国外務省は18日夜に発表した報道官談話で、台湾当局がリトアニアに出先機関の「台湾代表処」(大使館に相当)を同日立ち上げたことに対し「強烈な抗議と断固とした反対」を表明した。その上で「一切の必要な措置をとり、国家主権と領土を守り抜く」と強調し、リトアニアに対して報復措置をとる方針を示した。 談話は、リトアニア政府が「中国の強烈な反対と、数度の制止をとりあわずに設立を許可した」と主張。リトアニア側に「中国の主権と領土を損ない、中国の内政に乱暴に干渉し、極めてたちが悪い」と猛反発し、速やかな見直しを求めた。 台湾側に対しても「外国に頼り『独立』をたくらむことは見込み違いであり、失敗の末路を逃れることはできないと決まっている」と非難した。 台湾代表処の設置計画は7月から進められていた。中国は8月に駐リトアニア中国大使の召還を決め、リトアニア側にも駐中国大使を引き揚げるように求め
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く