外務省が今年まとめた「外交青書」に、北方領土について「不法占拠」という言葉が2003年以来、19年ぶり「日本固有の領土」が2011年以来、11年ぶりに明記された。右翼ならずとも、かつては当然の如く使われてきた言葉も、近年「ロシアに配慮」して封印されていた。ここでは「固有の領土」ひいては「北方領土」という表現を考えたい。(粟野仁雄/ジャーナリスト) 【写真】日ソ共同宣言、ヤルタ会談当時の記録を残す写真など 「固有の領土」とは? 「不法占拠」とは、日ソ不可侵条約(1941年)が有効だったにもかかわらず、1945年夏、ソ連が一方的に破棄して日本に侵攻したことや大西洋憲章の領土不拡大に反するなど国際条約違反を指す。一方「固有の領土」とはわかったような、わからないような表現だ。英語は「inherent」。NHKのロシア語ニュースを読むと「固有の」の部分は「ニアトゥイェムリェムイ」と発音しにくい単語だ