コオロギをはじめとする最近の日本における昆虫食は、「食料問題の解決策」「高たんぱくで栄養豊富」といった華々しいイメージが打ち出されていた。昆虫食を研究する東京農工大学大学院農学研究院の鈴木丈詞准教授(応用昆虫学)は、今回の騒動をこう振り返る。 「2020年に発売された無印良品の『コオロギせんべい』をきっかけに、昆虫食の認知度が一気に上がりました。メディアでも取り上げられ、一般の方でも昆虫食の有用性に関する情報を目にする機会が増えたと思います。ですが、発信される情報は、営利企業であれば当然のことですが、食用昆虫の商品を売るためであったり、企業価値を高めたりする目的のものに偏っていました」 研究者の間では、これまでの姿勢を冷静に分析し、見直していくとの声が上がっているという。 「企業や研究者が昆虫食のプロジェクトを推し進める中、一般の方が抱く昆虫食への不安やマイナスイメージとの乖離がどんどん進
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