近年、殺人で逮捕される未成年者の数は、年間40~60人台を推移している。 事件が起こるたびに、少年たちの凄惨な事件が報じられ、凶悪な少年に対する批判が起こる。特にインターネットでは「こんな悪い奴は死刑しろ」などという言葉が飛び交うことも少なくない。 だが、私がこれまで見てきた殺人で逮捕された少年の多くは、凶悪な非行少年というより、いじめられたり、虐待をされてきたりした経験を持っている「社会的弱者」と呼ばれるような子だった。 なぜそういう少年たちが殺人を犯すのか。 2015年2月20日、川崎区の多摩川河川敷で17歳~18歳の少年A、B、Cが、中学1年の上村遼太君をカッターナイフで43回切りつけて殺害するという事件が起きた。 この度私はこの事件ルポ『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』を上梓したばかりだが、本書をもとに加害少年らの特性について考えてみたい。 家にも学校にも居場所がない