江蘇省南通市で発生した王子製紙の製紙工場排水設備計画に対する抗議デモは、中国で生産活動をする多くの日系企業に波紋を広げた。 王子製紙のケースは環境問題という特殊事情があるにせよ、「世界の工場」中国は、今や労働紛争がついて回る“東洋の火薬庫”と化していることが、いよいよ鮮明になったのである。 「労働契約法」施行で労働紛争が増加 中国では2010年以来、各地で労働紛争が多発している。この年は、南海ホンダのストライキなどがクローズアップされたが、台湾系EMS(電子機器の受託生産)工場の富士康で連続自殺事件が起きたように、決して日系企業だけが標的にされたわけではなかった。 矛先は、台湾企業、中国国有企業、政府機関にも向かった。そのきっかけは、賃金の未払いや従業員の過労死、企業(工場)売却への反対、社内の腐敗に対する抗議など様々だった。 中国人力資源部(日本の厚生労働省に相当)によれば、中国各地の仲