小路会長はどのような経緯で労働組合活動に参加したのですか。 アサヒグループホールディングス(HD)会長、小路明善氏(以下小路氏):アサヒビールは入社とともに社員が組合員になる、ユニオンショップ制です。入社5年目、当時東北地方で営業をしていた私に、東京の労組本部から組合専従に就いてほしいと打診がありました。6年目の1980年から、10年を労組専従として過ごしました。この労組での経験が、私の経営の原点になっています。 協調への転換期 当時はどんな時代でしたか。 小路氏:まだイデオロギーや階級闘争が残っていた時代ですが、労組と会社の関係は「闘争」から「協調」に移りつつありました。当時は「夕日ビール」とやゆされるほど業績が厳しく毎年シェアが下がっていました、その中で、真っ先に500人の大規模リストラへの対応を迫られました。 労組として、リストラに反対するという選択肢はなかったのでしょうか。