政府は28日、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて福島県が求めていた18歳以下の医療費無料化の見送りを県側に伝えた。 原発事故の影響を受けている他県とのバランスを考慮したためだ。ただ、政府は県が創設する新たな基金に400億円を拠出することを決め、県は医療費無料化の制度を独自に導入する方向となったため、事実上、国が「穴埋め」をした形だ。 医療費無料化は、福島県が原発事故に伴う県民の健康不安を背景に国に要望してきた。野田首相は今月8日の佐藤知事との会談で、「政府内でしっかり検討したい」と前向きな意向を示していた。 しかし、政府内で検討した結果、「福島県だけに無料化を認めれば、原発事故で同様の健康不安を抱える隣県などから批判が出かねない」との懸念が強まった。県外の一部地域では、福島県内より放射線量が高い地域があるためだ。「原発事故と無関係の病気の診察まで無料化するのは説明がつかない」との意見