石巻市大川小の津波災害を巡る損害賠償請求訴訟の口頭弁論が21日、仙台地裁であり、高宮健二裁判長は東日本大震災の発生当時、校内にいた教職員11人のうち唯一生き残った男性教務主任について、遺族側の証人尋問請求を却下した。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されたことなどを考慮したとみられる。訴訟は6月29日に結審する。 地裁は同日までに計5人の尋問を実施。当時の校長は震災時不在で、津波に対する震災前の認識を述べるにとどまった。訴訟は教職員が学校への津波の襲来を予見できたかどうかが最大の争点だが、地裁は教務主任を尋問しなくても立証が尽くされたと判断した。 訴えによると、教職員は震災発生後の約45分間、児童に校庭で待機するよう指示。その後、津波が押し寄せ、訴訟対象の23人を含む児童74人と教職員10人の計84人が死亡・行方不明になった。