群馬県立図書館(前橋市)と前橋市立図書館で先月、大量の音楽CD盗難が相次いで判明した。 盗難を防ぐ対策が急がれるが、県内の公立図書館では、抑止効果の高い防犯カメラ設置に慎重な図書館が少なくない。背景には、図書館が戦前の反省から利用者のプライバシー保護を重視する事情がある。 読売新聞が県内12市の市立図書館に取材したところ、防犯カメラを設置しているのは高崎、桐生、伊勢崎、太田、沼田、館林、みどりの各図書館(一部施設の場合を含む)。CD317枚が被害に遭った前橋のほか、渋川、藤岡、富岡、安中の各図書館は分館を含めて設けていない。前橋市立図書館の栗木佳香館長は「図書館は誰もが気持ちよく静かに資料を読む場」とし、今後も設置予定はないという。 図書館が防犯カメラの設置に慎重となる理由の一つに、日本図書館協会(東京)が定める司書の基本理念「図書館の自由に関する宣言」の存在がある。 1954年に採択され