私が人生で初めて全身麻酔手術を受けたのは、医師になって数年たってからのことでした。この時、手術前後で1カ月近くの入院を経験しました。私は初めて入院患者となり、それまで全く気づけなかった驚くべき事実を知ることになります。 今回は、医師から患者になったことで、私がどんなことを学び、どんなふうに成長できたのかを書いてみたいと思います。 外科医は、毎日のように患者さんに全身麻酔手術を受けていただく仕事です。 いつも手術前の患者さんからは、「ちゃんと麻酔が効くでしょうか?」「途中で麻酔が覚めたりしないでしょうか?」「手術が終わっても麻酔が覚めない、なんてことはないでしょうか?」と質問攻めです。 全身麻酔は薬で突然意識を失わせる行為なので、怖いのは当たり前です。しかし実体験のなかった私はそれまで、患者さんにニコニコして「大丈夫ですよ!」と言っていました。今日の全身麻酔の技術は非常に安全ですから、ことさ