トヨタ自動車がIT産業に急接近している。この動きをどう捉えるかによって、日本のIT産業やIT技術者の命運が決まるだろう。企業のIT投資の構造的変化を象徴的に示す事例だからだ。そして、その本質に迫るには、ITを活用してライバルを寄せ付けない高収益企業となった建設機械大手コマツの先行事例を見ていけばよい。 KOMTRAXがビジネスを変革する仕組みに まずはコマツの話から。コマツの建機には「KOMTRAX(コムトラックス)」と呼ぶITの仕組みが組み込まれている。このKOMTRAXは建機の稼働状況を遠隔監視するもので、もともとは盗難防止のために作ったシステムだった。だが、ひとたび運用を始めると、いろいろなアイデアが生まれ、コマツのビジネスを変革する仕組みへと発展していった。 例えば、建機の稼働状況が分かることで部品の交換時期が把握でき、純正部品への交換をタイミングよく提案できる。燃料の使用量も分か
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