名古屋大学大学院情報学研究科の吉田久美教授らの研究グループは、弘前大学、名城大学との共同研究で、赤小豆の種皮から純粋な色素を取り出し、その構造決定に世界で初めて成功した。これは花や果実の色素としてよく知られているアントシアニンとは異なる新規物質で、この色素が餡(あん)の紫色を担うことも分かった。 今回、赤小豆から2種類の紫色色素を取り出し、立体配置を含めて完全な構造を決定した。それはカテキンとシアニジンがピラン環(酸素を含んだ6員環)で結合(縮環)した新規物質であることが判明し、「カテキノピラノシアニジンA、B」と命名された。この色素は水にはほとんど溶けず、強酸性(pH1)から中性(pH5)で美しい紫色になる。また、色素溶液は室内光のような弱い光でも分解されるが、暗い所では安定で分解されない。さらに、赤小豆から調製した餡にもこの紫色色素が含まれることがわかり、餡の紫色はこの色素によることが