JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (「小説家になろう」さんにも重複投稿しています。小説家になろう版はルビ多めです。) 「テスト勉強やった?」「全然」 このやりとりを、あと何回繰り返さなければいけないのだろう。 繰り返されるたびに、嫌な感じの違和感に襲われる。 まるで「勉強なんてするな」と牽制し合っているようだ。 あるいは、周りの人間のダメさ加減を確認して、安心したいみたいだ。 勉強なんて全然していない、と言いながら、本当はテスト前、焼け石に水のような勉強をしている。 これくらいは「勉強をやった」うちに入らないからと、自分で自分を誤魔化して「勉強なんて全然してない」と口にする。 だけど、それを口にするたびに、嫌な感じの罪悪感に襲われる。 俺は、嘘をついているのだろうか。アイツらを騙しているのだろうか。 仲の良いクラスメイトとの、何気ない日常の中、ふと感じることがある。 「勉強なん
きっと、これは、ありふれた別れなんだろう。 同級生の中にも、既(すで)に祖父母を亡くしている奴は結構(けっこう)いる。 人間、年を取れば、いつかはそういうことになるんだから、当たり前のことなんだ……そう、自分に言い聞かせようとする。 覚悟(かくご)を決める時間なんて、たくさんあったはずだった。 おばあちゃんは、いわゆる余命宣告というやつを受けていて、残された時間が一日一日と減っていくのを、カレンダーを見るたび、思い知らされていた。 その一日一日を数えるたび、身の竦(すく)むような思いでいた。 病院のベッドに寝たきりになったおばあちゃんは、会いに行くたびに、どんどん小さく、細くなっていって、時々ハッとするほど存在感を失(な)くしていた。 確かにそこに横たわっているはずなのに、一瞬ベッドと布団しかないように錯覚(さっかく)するほど、身体の厚みがなくなっていた。 そのうちそのまま、いなくなってし
ファンタジー短編シリーズ 「英雄群像ファンタジカ」 ひとつのファンタジー世界をそれぞれのキャラの立場・視点から切り取った一人称SSオムニバスです。 タイトルおよび各章タイトルをクリックしていただくと、そのページにジャンプします。 複数の小説投稿サイトさんに投稿していますが、サイト(orブログ)ごとに世界・設定が異なります。 Type-T:なりゆき勇者と仲間たち (ツギクルさんに投稿したバージョンの一覧です。) 1.勇者 (ルビ・ルビ用記号含めて2669文字) 2.聖女 (ルビ・ルビ用記号含めて1963文字) 3.魔法使い(本当は王女) (2150.5文字(半角記号は0.5文字でカウント)) 4.戦士(元王国騎士) (ルビ・ルビ用記号含めて2537文字) 「戦士」は男女どちらでも通用するように書いています。お好きな方で想像して読んでみてください。 Type-A:元魔王な兄と勇者な妹 (アルフ
過ぎたるは、なお及(およ)ばざるが如(ごと)しとは、よく言ったものだ。 行き過ぎた才能、斬新(ざんしん)過ぎる手法(しゅほう)は、いつの時代もすぐには評価されない。 文化人や審査員(しんさいん)といった人々は、口では「我々の想像を超える才能を求む」と言いながら、所詮(しょせん)は自分たちの想像の延長線上にある才能しか見出(みいだ)すことができない。 想像のナナメ上をカッ飛んだ才能は、そもそも視界に入りすらしないのだ。 この真実に辿(たど)り着(つ)くまで、俺も散々(さんざん)悩まされ、苦しんできたものだ。 何せ、地道(じみち)な思考錯誤(しこうさくご)を心が折れそうになるまで繰(く)り返し、それまでの能力の限界さえ超(こ)えて描いた“自分史上最高の傑作(けっさく)”が、まるでそこに存在しないもののようにスルーされるのに、通常運行以下の間(ま)に合わせで描いたような及第点(きゅうだいてん)ギ
夢を持て、夢を大切に――と、子どもの頃にはうんざりするほど言ってくるくせに、ある程度の年齢になった途端(とたん)、手のひらを返したように、現実を見ろ、夢みたいなことを言うな、と言ってくる。 大人たちのその矛盾(むじゅん)やちぐはぐさを、ずっと疑問に感じてきたが、最近やっとその答えが見えてきた気がする。 何のことはない。 大人たちは口では「夢を大切に」と言いながら、本当はこれっぽちも子どもの夢に価値を見出(みいだ)していないんだ。 泣く子に玩具(オモチャ)を与えるように、子どもには夢を見させておけば良いと思っている。 大きくなれば「もうそんなモノで遊んでいるんじゃありません」と取り上げてしまえる程度(ていど)の、そんな思いしか抱(いだ)いていないんだ。 白紙の進路調査票を前に、僕は昔を懐(なつ)かしむ。 小学校の頃(ころ)の文集なら“将来の夢”にどんなことを書いても許(ゆる)されたのに、今は
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