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一人称に関するm25moriのブックマーク (29)

  • そつ無く生きられても、空しいばかりなんて | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版はブログ版よりもルビ多めです。) 周りが「今日のテスト最悪だった」と言うなら、私も「全然ダメだった」と返す。 周りが「炊飯器でケーキ作ると楽しいよ」と言うなら、私も「今度やってみるね」と言う。 当は、それほどテストが駄目だったわけでもないし、お菓子作りなんて調理実習以外でやったこともない。 だけど、大切なのは“合わせること”で、“自分を出すこと”じゃないんだ。 出来過ぎて鼻につくと思われないよう、出来なさ過ぎて馬鹿にされないよう、小器用に、巧(うま)く立ち回る。 ずっと、そうやって生きてきた。 たぶん私は、場の空気に敏感なのだと思う。 会話のキャッチボールで次にどんな言葉を投げ返せば良いのか、どんな 反応(リアクション)が求められているのか、何となく分か

  • そつ無く生きられても、空しいばかりなんて

    周りが「今日のテスト最悪だった」と言うなら、私も「全然ダメだった」と返す。 周りが「炊飯器(すいはんき)でケーキ作ると楽しいよ」と言うなら、私も「今度やってみるね」と言う。 当は、それほどテストが駄目(ダメ)だったわけでもないし、お菓子(かし)作りなんて調理実習以外でやったこともない。 だけど、大切なのは“合わせること”で、“自分を出すこと”じゃないんだ。 出来過(できす)ぎて鼻につくと思われないよう、出来なさ過ぎて馬鹿(ばか)にされないよう、小器用に、巧(うま)く立ち回る。 ずっと、そうやって生きてきた。 たぶん私は、場の空気に敏感(びんかん)なのだと思う。 会話のキャッチボールで次にどんな言葉を投げ返せば良いのか、どんな反応(リアクション)が求められているのか、何となく分かる。 だから、その通りの言動(げんどう)を採(と)る。 実際、周りの感触(かんしょく)は悪くない。 今のところ嫌

    そつ無く生きられても、空しいばかりなんて
  • そつ無く生きられない僕は、空気になりたいと希う

    僕はどうやら、生きているだけで他人を苛(いら)つかせてしまうらしい。 その場に居(い)るだけで、他人を不快にさせてしまうらしい。 だったら、誰の目にも映らない“空気”になれたら良いのに、と思う。 存在が消えるわけではなく、ただ誰からも認識(にんしき)されなくなる、透明(とうめい)な気体に。 誰からも疎(うと)まれず、そこに居ることすら気づかれない、ただその場に漂(ただよ)うだけの“空気”に……。 以前から薄々、気がついてはいた。 僕は普通の人よりだいぶ、要領(ようりょう)が悪い。雑な言い方をすれば、鈍臭(どんくさ)い。 他の人間ならそつ無くスムーズに熟(こな)せることに、何故(なぜ)だか妙にモタついてしまう。 小学生の頃は、大縄跳(おおなわと)びの中に入るのが苦手だった。 タイミングが掴(つか)めずに、何時(いつ)までもずっと、縄の回転を見送ってしまう。 やっとの思いで飛び込めても、大抵(

    そつ無く生きられない僕は、空気になりたいと希う
  • 理解ってくれない貴女への反抗期

    反抗期と言うのは、思うように行かない現実への拒絶反応なのかも知れない。 卵アレルギーの肉体(からだ)が卵を受け付けないように、あんまりな現実を精神(こころ)が受け付けないのかも知れない。 世界がいつの間にか優しくなくなったことに対する、拒絶反応。 肉体が俺を裏切って、勝手に大人になり始めたことへの拒絶反応。 家族の言動に、何故(なぜ)だか妙に苛(いら)つくことへの拒絶反応。 そもそも“家族に対する目”自体、この頃(ごろ)は変わってしまった。 幼いうちは心のどこかで、親は自分より優(すぐ)れたものだと思っていた。 俺より大人で、正しくて――だから、叱(しか)られるのは仕方のないことなのだと、全てを諦(あきら)めて受け入れていた。 だけど、もう気づいてしまった。 あの人たちは、分かっていない。 あの人たちの言動は、時々矛盾(むじゅん)している。 あの人たちはきっと正しくなんかなくて、いろいろと

    理解ってくれない貴女への反抗期
  • 最高の生き様のための人生を

    幼い頃(ころ)は、ヒーローや偉人(いじん)に憧(あこが)れる人間なんて、周りを見れば、そこら中(じゅう)にいた。 なのに、大きくなるにつれ、その数は減っていった。 皆、歳(とし)を重(かさ)ねていくと、その手の“憧れ”からは卒業していくものらしい。 どうしてそんな“もったいない”ことをするんだろうと、幼心(おさなごころ)に不思議だった。 フィクションがフィクションに過ぎないこと、伝記や歴史モノがあくまで“過去”の物語だということは、大きくなれば嫌(いや)でも分かる。 現実の“悪の秘密組織”は、特撮(とくさつ)ドラマのように分かりやすい暴力で街を襲(おそ)ったりはしない。 外国のどこかに潜(ひそ)んで、電話やメッセージで詐欺(さぎ)や強盗の“指示を出すだけ”だ。 実行犯も、怪人ではない。利用されやすい“ただの人”だ。 戦って倒せばそれで良いなんて、単純明快(たんじゅんめいかい)なものじゃない

    最高の生き様のための人生を
  • ないものねだりの強がり狼

    それは、高校卒業を間近に控えた、ある放課後のことだった。 たまたま、あるクラスメイトと、教室に二人きりになった。 それまで、ほとんど話したこともない相手だ。 だけどその時は何となく、どちらからともなく会話を始めていた。 あと少しすれば、もう毎日顔を合わせることもなくなる。 そんな、しんみりとした感傷(かんしょう)が、お互い、胸の底に湧(わ)いたのかも知れない。 「当は、ずっと話してみたかったんだ」 彼女は、そう言った。 まるで、憧(あこが)れの相手に気後(きおく)れして、話しかけられなかったとでも言うように。 「いつも、すごいな……って、思って見てたんだ」 彼女は、私を褒(ほ)めちぎる。 自分の道を貫(つらぬ)く、クールなところが格好良(カッコイ)い。 早いうちから目標を決めて、ちゃんとそこへ向かっていけているのが、すごい。 それに比べて、自分は平凡で、目標も何も見えていなくて、恥ずかし

    ないものねだりの強がり狼
  • 人生の果てるまでを看ている。

    人生の果ての、崖(がけ)っぷちを歩いているような気が、ずっとしている。 世界が暗い夕闇の中、閉ざされているような気が、ずっとしている。 この先、もう何処(どこ)へも行けない、行き止まりの人生――そんな気が。 祖父の病気が分かって以来、ずっとだ。 祖父の病は、治(なお)ることがない。 進行を遅(おく)らせることはできても、完治(かんち)することの無い病。 高齢で体力が心配だからと、手術もやんわり拒否されるような、そんな状態だ。 長い入院を終えて帰って来ても、筋肉の衰(おとろ)えきった祖父に、以前のような生活はもう出来(でき)ない。 一日中、ベッドに縛(しば)りつけられたように、寝たきりの日々。 生きるために、人の手を借りなくてはどうにもならない身体(からだ)。 そして、俺たちの生活もまた、祖父の退院とともに一変してしまった。 一番広くて居心地(いごこち)の良かった居間には、介護用のベッドが運

    人生の果てるまでを看ている。
  • 「です・ます調」一人称小説への初挑戦(初めての文体は短編やSSで試しながら)|津籠睦月|note

    初めて使う文体で、いきなり長編小説を書くのは危険です。 その文体が、自分にとって書きづらい「苦手な文体」だった場合、筆が止まって、それ以上書けなくなるリスクがあるからです。 なので自分の場合、新しい文体にチャレンジする際には、短編やSS、長編の中の「1つの場面だけ切り取ったもの」などで「試し書き」のようなことをします。 「です・ます調」の一人称に初チャレンジした時もそうでした。 一般的な「小説」ではあまり見ない気がする「です・ます調」一人称ですが(←三人称なら児童文学などでよく見ますが…)、不思議と小説投稿サイトではよく見かけます。 紙の書籍に慣れ親しんだ自分には、正直、初めは「違和感」があったのですが… 投稿サイトで見慣れていくうちに、逆に興味が湧いてきました。 「自分がこのスタイルで小説を書いてみたら、どんな物語が出来上がるんだろう?」と。 このスタイルに挑むにあたって、ひとつ不安だっ

    「です・ます調」一人称小説への初挑戦(初めての文体は短編やSSで試しながら)|津籠睦月|note
  • 3.元賢者な母 | 【完結】 元魔王な兄と勇者な妹 (多視点オムニバス短編) | ファンタジー小説 | 小説投稿サイトのアルファポリス

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    3.元賢者な母 | 【完結】 元魔王な兄と勇者な妹 (多視点オムニバス短編) | ファンタジー小説 | 小説投稿サイトのアルファポリス
  • 多視点小説は一人称の練習に最適(キャラ造形の勉強にもなります)|津籠睦月

    最近の小説では、1話ごとに主人公(視点)が切り替わるタイプのものも多いですが… そういった多視点タイプの小説は、一人称の「幅」を広げるのに、非常に役立ちます。 たとえば同じ「一人称」でも、女性主人公の一人称「私」と、男性主人公の一人称「僕」とでは、書き方が変わってくると思いませんか? 1話ごとに主人公(視点)が変わっていけば、そんな一人称の「引き出し」を増やすことができるのです。 同じ一人称の「練習」なら、主人公の違う短編やSSを、たくさん書いていくという方法もありますが… 物語自体が変わってしまうと、設定を1から考え直さなければいけないため(そして作品の数だけ設定を考えなければならないため)、大変なのです。 その点、同じ物語の中で主人公(視点)だけを変えていくなら、設定は1つで済みます。 つまり、短編をたくさん書くより、ずっとラクなのです。 また、1話ごとに主人公が変わるということは「キ

    多視点小説は一人称の練習に最適(キャラ造形の勉強にもなります)|津籠睦月
  • 時代についていけない私は、ダメな子ですか? | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版はブログ版よりもルビ多めです。) 両親が共働きで忙しかった私は、幼い頃、よく祖父母の家に預けられた。 自分の家とはまるで違うあの家が、私は大好きだった。 昭和に建てられた木造家屋は、古くて、そんなに広くはない。 けれど、その古めかしさが、何だか別の世界に迷い込んだ気分で、好きだった。 紅葉の模様が入った 磨硝子 ( すりガラス ) 。 玉石を敷きつめたような、風呂場のタイル。 花柄のホーロー鍋。 家具も皆、古い木の色と艶があって、どっしりした存在感がある。 あの家の、あの空気感が好きだった。 そして、あの家の中に流れる、ゆったりとした“時間”が好きだった。 共働きの両親は、いつも時間に追われていた。 新しくて綺麗だけど、綺麗過ぎて、逆に人間味を感じない家の

    m25mori
    m25mori 2022/08/08
    青春SS「時代についていけない私は、ダメな子ですか?」
  • 時代についていけない私は、ダメな子ですか?

    両親が共働きで忙(いそが)しかった私は、幼い頃(ころ)、よく祖父母の家に預(あず)けられた。 自分の家とはまるで違(ちが)うあの家が、私は大好きだった。 昭和に建てられた木造家屋(もくぞうかおく)は、古くて、そんなに広くはない。 けれど、その古めかしさが、何だか別の世界に迷い込んだ気分で、好きだった。 紅葉(もみじ)の模様(もよう)が入った磨硝子(すりガラス)。 玉石(たまいし)を敷(し)きつめたような、風呂場のタイル。 花柄(はながら)のホーロー鍋(なべ)。 家具も皆(みな)、古い木の色と艶(つや)があって、どっしりした存在感がある。 あの家の、あの空気感が好きだった。 そして、あの家の中に流れる、ゆったりとした“時間”が好きだった。 共働きの両親は、いつも時間に追われていた。 新しくて綺麗(きれい)だけど、綺麗過ぎて、逆に人間味(にんげんみ)を感じない家の中で、いつもバタバタ、ピリピリ

    時代についていけない私は、ダメな子ですか?
  • 愛を失くした正義の、その名を

    ドラマの中で語られる“綺麗事”を、うすら寒く感じて、心が冷(さ)めることがある。 特に「親子だから、きっと上手くいく」「血の繋(つな)がった家族だから、最後には分かり合える」なんて台詞(せりふ)には、死にそうなくらいに胸が凍(こご)える。 それが真実だと言うなら、上手くもいかず、分かり合えもしない俺は何なんだ。 努力や試練が足(た)りないとでも言うのか。もっと苦悩や苦痛を味わわなければいけないとでも言うのか。 ……きっと、そんなわけはない。 上手くいかない理由を“自分”に求めるのは、いい加減(かげん)、もう飽(あ)きた。 悪いのは俺なのだと、一方的に断罪して責(せ)め立てる、あの男の虚言(そらごと)に、いつまでも乗ってやる義理はない。 俺はもう、子どもじゃない。 ただの言い訳(わけ)や誤魔化(ごまか)しを、親の言うことだからと素直に受け入れられるほど、子どもではないんだ。 幼い子どもという

    愛を失くした正義の、その名を
  • あの日の私の跡をなぞれば

    今時、SNSでもアプリでもなく、紙の日記をつけるのが好きだなんて、変わった子だと思われてしまうかな。 自分でも、こんな趣味を持つことになるなんて、思っていなかった。 だけど、これはもう、私にとって、無くてはならない行為。 私の人生にとって重大な意味を持つ――私が“私”を忘れないための、大切な金石文(きんせきぶん)だ。 きっかけは、他愛(たわい)もないことだった。 雑貨屋さんで、とても綺麗な筆記帳(ノート)を見つけた。 西洋貴族の城の書庫(しょこ)に眠る古い時代の書物(しょもつ)のような、美しい装飾模様(そうしょくもよう)のついた、ハードカバーの筆記帳(ノート)。 ちょっと高かったけれど、一目惚(ひとめぼ)れして思わず買ってしまった。 しばらくは机の上に置いて、時々手に取ってはにやけていたけれど、白紙のままにしておくのも、お金が勿体(もったい)ない気がして、日記帳として使うことにした。 毎日

    あの日の私の跡をなぞれば
  • あの頃の景色が消えていく

    数ヶ月ぶりに帰省(きせい)したら、地元の駅に自動改札ができていた。 古くさいばかりの田舎の駅が、急に近代化したようで、違和感ばかりを強く覚えた。 駅前にあったコンビニは、いつの間にか潰(つぶ)れていた。 駅前なのに潰れるなんて、さすがは田舎だな、と変な納得(なっとく)の仕方をしながら、迎えの車に乗り込んだ。 時間が止まったかのような、変化の乏(とぼ)しい地方の町でも、数ヶ月離れているだけで、いろいろとあるものだ。 大学に進学するため地元を離れて、もう二年が経(た)とうとしている。 長期休暇も、バイトだサークルの合宿だで何かと忙しく、実家には数えるほどしか帰っていない。 たまの帰郷は片道時間からして長くて、ちょっとした旅行気分だ。 大学に入ってすぐの頃は、周りの景色に慣れなくて、疎外(アウェー)感が強かった。 まるで自分が、場違いな“異物”のようで、あの街に馴染(なじ)める気が、まるでしなか

    あの頃の景色が消えていく
  • あの青春が私のものじゃなくても | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版は、補足情報が無い代わりにルビ多めです。) 東京に来れば、何かが変わると思っていた。 マンガやドラマの中にあるような、キラキラした青春と出逢えるんじゃないかって……そんな淡い希望を持っていた。 だけど、思い知った。 あのキラキラした青春は、誰もが手に入れられるものじゃない。 少なくとも、私が手に入れられるものではなかった。 青春するには、お金がかかる。ある程度の自由な時間が要る。 そして私のお金と時間は、気づけばいつもなくなっている。 ……一人暮らしが、こんなに大変で、忙しくて、ギリギリなものだなんて、あの頃は全然、思ってなかった。 東京に来て、まず困ったのが、服を買う場所だった。 地元から持ってきた服は、何だかキャンパスの中で浮いている気がして、入学して

    m25mori
    m25mori 2021/12/19
    青春SS「あの青春が私のものじゃなくても」
  • 繊細な心が邪魔をする | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版は、補足情報が無い代わりにルビ多めです。) 傷つかなくて良いことに、ずっと傷ついてきた。 大事なものを、読み違えていることにも気づかずに。 自分が周りと違うこと、他の人間と何かがズレていることを、ずっと嫌悪し、引け目に感じてきた。 同じ世界を視ているはずなのに、僕だけ違う言動、異なる反応をしてしまうのは、自分が劣っている所為(せい)だと信じていた。 だが、そもそも根からして間違っていた。 この世界に、“同じ”世界を視(み)いる人間など、 唯(ただ)の一人も存在しない。 同じ世界を生きていても、心に映る世界は、皆違う。 僕たちは、誰とも世界を共有できていない。 ――そのことに、僕はようやく、気がつき始めた。 以前から不思議に思っていた。 相手の嫌がることを

    m25mori
    m25mori 2021/11/12
    青春SS「繊細な心が邪魔をする」
  • シンデレラの報われない時代に、私は何を頑張れば | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版は、補足情報が無い代わりにルビ多めです。) おとぎ話の中では、断然『シンデレラ』が好きだった。 ひとりで苦労して頑張ってきた子が、報われてプリンセスになる――こんなに、人の苦労や頑張りを救ってくれる物語はない。 シンデレラへの憧れは、私の性格や生き方にも影響を与えた。 頑張ることは、美しいこと。頑張っていれば、いつか誰かが認めてくれて、シンデレラにしてくれる――そんなことを信じて、生きてきた。 だけど、そんなの嘘だった。 この世界には、 灰かぶり ( シンデレラ ) を見つけてくれる“魔法使い”なんて、いない。 私の頑張りを見ていてくれる人なんて、どこにもいない。 家族ですら、認めてくれるのは結果の出た時だけ。 結果を出せずに終わった私の頑張りは、無かった

    m25mori
    m25mori 2021/09/22
    青春SS「シンデレラの報われない時代に、私は何を頑張れば」
  • 八月の水底から、呼ぶ声が聞こえる。

    小学校に上がったか上がっていないかくらいの頃(ころ)、一度、プールの底に沈(しず)みかけたことがある。 夏休み、初めて行ったそのプールには、様々な形、様々な仕掛(しか)け、様々な深さのプールが取り揃(そろ)えられていた。 中には、子ども用の浅いプールと、大人用の深いプールが、真ん中で区切られているだけで、くっついているものもあった。 たくさんのプールにはしゃいで、あちこち入り回っていた俺は、大人たちが少し目を離(はな)したスキに、足の着(つ)かない大人用プールに、浮き輪も持たずに飛び込んでしまったのだ。 現在(いま)の俺なら「足が着くか着かないかくらい、ちゃんと見れば分かるだろうに」と思う。 だが、当時の俺には、そんな判断力も育っていなかった。 あるいは、興奮(こうふん)し過ぎて、冷静な判断ができなくなっていたのかも知れない。 あの時の、ヒヤリとするような感覚を、今でも覚(おぼ)えている。

    八月の水底から、呼ぶ声が聞こえる。
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