反抗期と言うのは、思うように行かない現実への拒絶反応なのかも知れない。 卵アレルギーの肉体(からだ)が卵を受け付けないように、あんまりな現実を精神(こころ)が受け付けないのかも知れない。 世界がいつの間にか優しくなくなったことに対する、拒絶反応。 肉体が俺を裏切って、勝手に大人になり始めたことへの拒絶反応。 家族の言動に、何故(なぜ)だか妙に苛(いら)つくことへの拒絶反応。 そもそも“家族に対する目”自体、この頃(ごろ)は変わってしまった。 幼いうちは心のどこかで、親は自分より優(すぐ)れたものだと思っていた。 俺より大人で、正しくて――だから、叱(しか)られるのは仕方のないことなのだと、全てを諦(あきら)めて受け入れていた。 だけど、もう気づいてしまった。 あの人たちは、分かっていない。 あの人たちの言動は、時々矛盾(むじゅん)している。 あの人たちはきっと正しくなんかなくて、いろいろと