JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版は、補足情報が無い代わりにルビ多めです。) 傷つかなくて良いことに、ずっと傷ついてきた。 大事なものを、読み違えていることにも気づかずに。 自分が周りと違うこと、他の人間と何かがズレていることを、ずっと嫌悪し、引け目に感じてきた。 同じ世界を視ているはずなのに、僕だけ違う言動、異なる反応をしてしまうのは、自分が劣っている所為(せい)だと信じていた。 だが、そもそも根本からして間違っていた。 この世界に、“同じ”世界を視(み)いる人間など、 唯(ただ)の一人も存在しない。 同じ世界を生きていても、心に映る世界は、皆違う。 僕たちは、誰とも世界を共有できていない。 ――そのことに、僕はようやく、気がつき始めた。 以前から不思議に思っていた。 相手の嫌がることを
結局、青春なんて、どこにあったんだろう。 三年間、これでも必死に努力してきたつもりだったのに、記録を出すどころか、地区大会の代表にも選ばれなかった。 学園ドラマやスポーツ漫画にあるような熱くてキラキラした青春は、俺の隣(となり)にいた、俺よりずっと才能も実力もあるチームメイトのもので、俺はまるで背景の名も無き観衆のように、そいつらの活躍を応援するだけだった。 一体、何のために毎日汗だくになりながら、辛(つら)い練習をこなしてきたんだろう。 いつかは見つけられるかも知れないと思っていた、競技に打ち込む意味も意義も、結局うすらぼんやりして見えないまま、今日でその辛い練習も終わる。 今まで何度も「苦しい」「辞めたい」と思ってきたはずなのに、いざ「今日で最後」となると湧(わ)き上がってくる、この感情は何だろう。 悔しさだとか未練だとか、そんなありきたりな言葉じゃ説明がつかない。 両手にすくった銀の
何であんな無愛想な男が好きなの?なんて、友達にはよく言われるよ。 あなたはフルートに関しては超がつくほどの天才だけど、コミュニケーション能力に関しては完全に人並み以下で、人と話している時間より、フルートを奏でている時間の方が長いくらいに無口な人だから。 今まで何人かの女の子が、あ...
JUGEMテーマ:恋愛小説 ねぇ、いいから早く来て。そこに立って。私の前に。 これは何の変哲もない、誰にでも思いつくシンプルなコトバ。 だけどここに私がいて、あなたがいなきゃ、成立しないコトバなの。 ごくごく簡単で、単純で、ほんの短い一言なのに、こんなに難しいコトバって、ない。 他の誰でもなく、あなたにしか言えないコトバなのに、あなただから上手く言えない。 ねぇ、そんな顔で見ないで。これ以上、私の動悸を速めないで。 「あのね……」 ちゃんと、受け止めてくれるかな? 精一杯の、このコトバ。 伝えたいのは、ただのコトバじゃない。 この気持ちにたどり着くまでの、私の想いの軌跡すべてなの。 こんなに簡単で、単純で、ほんの短い一言だけじゃ、とても全部は伝えきれない。 だけど震える胸がジャマをするから、一言だけで精一杯。 上手く言えないかも知れないけど、一言だけしか言えないけど、ちゃんと聞いてくれる?
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