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ネット小説と家族に関するm25moriのブックマーク (2)

  • あなたの遺した春の中で

    きっと、これは、ありふれた別れなんだろう。 同級生の中にも、既(すで)に祖父母を亡くしている奴は結構(けっこう)いる。 人間、年を取れば、いつかはそういうことになるんだから、当たり前のことなんだ……そう、自分に言い聞かせようとする。 覚悟(かくご)を決める時間なんて、たくさんあったはずだった。 おばあちゃんは、いわゆる余命宣告というやつを受けていて、残された時間が一日一日と減っていくのを、カレンダーを見るたび、思い知らされていた。 その一日一日を数えるたび、身の竦(すく)むような思いでいた。 病院のベッドに寝たきりになったおばあちゃんは、会いに行くたびに、どんどん小さく、細くなっていって、時々ハッとするほど存在感を失(な)くしていた。 確かにそこに横たわっているはずなのに、一瞬ベッドと布団しかないように錯覚(さっかく)するほど、身体の厚みがなくなっていた。 そのうちそのまま、いなくなってし

    あなたの遺した春の中で
  • 真面目に生きるのが馬鹿らしい、なんて

    自分は、父のことをあまりよく知らない。 死に別れたわけでも海外へ赴任(ふにん)しているわけでもないのだが、父はいつも仕事に忙しく、家に帰って来てもあまり喋(しゃべ)らない。 だから、未だにどんな人間なのか、いまいちよく分からずにいる。 元々無口で、真面目なだけが取(と)り柄(え)なのだと、母は言う。 それを聞くたび、あまりよく知らないはずのこの人との、血の繋(つな)がりを意識する。……自分も、思いを口にするのが得意ではなく、周囲からは真面目と評されがちだから。 あまり嬉(うれ)しくない遺伝だと、いつも思ってきた。 真面目、堅物(カタブツ)、融通(ゆうづう)が利(き)かない――どれも、同年代の間ではあまり好まれない性質だ。 自分たちの年代なら、ノリが良くて面白くて、ちょっと不真面目なくらいの方が、ウケが良い。 自分だって、そんなことは理解している。 だが、間違っていると知りながら、わざとルー

    真面目に生きるのが馬鹿らしい、なんて
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