JUGEMテーマ:恋愛小説 遠く離れた今になって、君のことばかり思い出すよ。 もしかしてあれは、恋だったんじゃないか……なんて。 “今更”な話かも知れないね。 あの頃に、ちゃんと気づけていたら良かったのにね。 この街は思っていた通り、圧倒的に人工物が多いよ。 あの町にいた頃は、東西南北どこを向いても視界に山が映っていたのに、コンクリートとアスファルトに囲まれたこの街では、周りにどんな山や川があるのか、ここがどんな場所なのかすら、よく分からない。 特に、地下鉄から繋がる迷路みたいな地下通路は最悪だよ。 案内表示通りに進んでいるはずなのに、気づけば全然別の場所に出ていたりするんだもの。 もう東京へ来て何ヶ月も経つのに、未だに、いつも使っているルート以外の道へは、恐くて入れない。 最初のうちは何度もここで迷って遅刻しそうになったもの。 一度なんて、あわてて走っていたら、通路で派手に転んじゃったこ