JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版はブログ版よりもルビ多めです。) 両親が共働きで忙しかった私は、幼い頃、よく祖父母の家に預けられた。 自分の家とはまるで違うあの家が、私は大好きだった。 昭和に建てられた木造家屋は、古くて、そんなに広くはない。 けれど、その古めかしさが、何だか別の世界に迷い込んだ気分で、好きだった。 紅葉の模様が入った 磨硝子 ( すりガラス ) 。 玉石を敷きつめたような、風呂場のタイル。 花柄のホーロー鍋。 家具も皆、古い木の色と艶があって、どっしりした存在感がある。 あの家の、あの空気感が好きだった。 そして、あの家の中に流れる、ゆったりとした“時間”が好きだった。 共働きの両親は、いつも時間に追われていた。 新しくて綺麗だけど、綺麗過ぎて、逆に人間味を感じない家の