JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版はブログ版よりもルビ多めです。) 物心ついたばかりの頃のことを、覚えている。 まだ世界のほとんどを知らなくて、何もかもが物珍しかった頃のことを。 蜘蛛(くも)水晶のような朝露や、シャボン玉の膜の虹色マーブルの揺らめきにさえ、いちいち心騒いで、ときめいていた頃のことを。 あの頃は「楽しい」や「おもしろい」のハードルが、驚くほどに低かった。 ほんの 些細(ささい)なことが楽しくて、おもしろくて、ずっと飽(あ)きずに遊んでいられた。 まるで 今(・)とは、世界からして違うみたいに。 私があの子と出逢ったのは、そんな、美しくて素晴らしくて――二度と戻れない世界の中だった。 いつ、どうやって出逢ったのか、最初のはじまりは覚えていない。 気づけばそばにいて、当たり前の