傷つかなくて良いことに、ずっと傷ついてきた。 大事なものを、読み違えていることにも気づかずに。 自分が周りと違うこと、他の人間と何かがズレていることを、ずっと嫌悪(けんお)し、引け目に感じてきた。 同じ世界を視(み)ているはずなのに、僕だけ違う言動(げんどう)、異(こと)なる反応をしてしまうのは、自分が劣(おと)っている所為(せい)だと信じていた。 だが、そもそも根本からして間違(まちが)っていた。 この世界に、“同じ”世界を視(み)ている人間など、唯(ただ)の一人も存在しない。 同じ世界を生きていても、心に映る世界は、皆(みな)違う。 僕たちは、誰とも世界を共有できていない。 ――そのことに、僕はようやく、気がつき始めた。 以前から不思議に思っていた。 相手の嫌がることを、平気で言ったり、したりする人間がいることに。 相手の置かれた状況を見ず、自分の都合(つごう)だけでズカズカ“邪魔”を
![繊細な心が邪魔をする](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8647652cca261d6f1373a668b35a2ef03cc397c3/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fsbo.syosetu.com%2Fn6390hh%2Ftwitter.png)