JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (「小説家になろう」さんにも重複投稿しています。小説家になろう版はルビ多めです。) 学校へ行けなくなってしばらく経った頃、叔父が中古のカメラをくれた。 叔父はプロのカメラマンで、普段は結婚式など人生の重要イベントで写真を撮っている。 だが、趣味で風景や花や小動物を撮ることもあり、家に遊びに来るたびにその写真を見せてくれた。 カッチリした勤め人の父とは違い、叔父にはどこか自由な空気があった。 考え方も柔軟で、私が不登校になってからも、理由を問い質そうとするわけでも学校へ行くよう説得するわけでもなく、それどころか学校の話など一切出さずに、綺麗な風景や季節の花の話をしてくれた。 そうして帰り際、「もう使わないから」と言って、小振りな一眼レフカメラを置いていった。「ファインダーを通すと、景色が違って見えるぞ。一度やってみるといい」と、そう言って。 その