人生の果ての、崖(がけ)っぷちを歩いているような気が、ずっとしている。 世界が暗い夕闇の中、閉ざされているような気が、ずっとしている。 この先、もう何処(どこ)へも行けない、行き止まりの人生――そんな気が。 祖父の病気が分かって以来、ずっとだ。 祖父の病は、治(なお)ることがない。 進行を遅(おく)らせることはできても、完治(かんち)することの無い病。 高齢で体力が心配だからと、手術もやんわり拒否されるような、そんな状態だ。 長い入院を終えて帰って来ても、筋肉の衰(おとろ)えきった祖父に、以前のような生活はもう出来(でき)ない。 一日中、ベッドに縛(しば)りつけられたように、寝たきりの日々。 生きるために、人の手を借りなくてはどうにもならない身体(からだ)。 そして、俺たちの生活もまた、祖父の退院とともに一変してしまった。 一番広くて居心地(いごこち)の良かった居間には、介護用のベッドが運