東京に来れば、何かが変わると思っていた。 マンガやドラマの中にあるような、キラキラした青春と出逢えるんじゃないかって……そんな淡(あわ)い希望を持っていた。 だけど、思い知った。 あのキラキラした青春は、誰もが手に入れられるものじゃない。 少なくとも、私が手に入れられるものではなかった。 青春するには、お金がかかる。ある程度(ていど)の自由な時間が要(い)る。 そして私のお金と時間は、気づけばいつもなくなっている。 ……一人暮らしが、こんなに大変で、忙(いそが)しくて、ギリギリなものだなんて、あの頃(ころ)は全然、思ってなかった。 東京に来て、まず困ったのが、服を買う場所だった。 地元から持ってきた服は、何だかキャンパスの中で浮いている気がして、入学してすぐの頃は、妙に人目が気になった。 だけど、百貨店や駅ビルの中みたいな“分かりやすい服屋”の服は、予算より五千円以上は高い。それどころか、