安倍晋三首相は、不思議な運にだけは妙に恵まれた総理大臣である。今年の一月の中東歴訪では自らの不用意な演説の結果、イスラム国に拘束されていた邦人が突然日本政府相手の脅迫の人質として使われてしまった。元からなにも考えていなかったし中近東情勢について驚くほど無知だっただけに、安倍内閣は無策でなにも出来ないまま、政府と日本のメディアがイスラム国にさんざん弄ばれた挙げ句、2人の邦人の殺害がネットで公開された。内閣総辞職ものの事態に陥ったはずが、逆にそれまで明らかに冷却化していた日米関係が「テロとの戦争」での「テロ被害国の日本への連帯」ということで好転に向かって来ている。 とはいうものの、安倍とその周囲が国内で盛んに喧伝したがっている歴史修正主義的な主張が東アジアの安定を揺るがせ、オバマ政権とアメリカのメディアの不信を買っている事態は、一向に変わっていない。そこで安倍が今年の戦後70年の機会に、50周