広島市の秋葉忠利市長は、原爆の日の6日に読み上げる平和宣言で、「(米国の)核の傘からの離脱」などを日本政府に求めることを明らかにした。緊迫する北東アジア情勢から目を背けた無謀な提言である。 北朝鮮は弾道ミサイル発射や核実験を繰り返し、今年3月には、韓国哨戒艦撃沈事件を起こすなど危険な挑発行為を続けている。中国は日本に照準を合わせた中距離の核ミサイルを配備する一方、先月も東シナ海で対艦ミサイル攻撃などの実弾訓練を行った。 これらの事実は、日本や韓国が依然、米国の核の傘を必要としていることを物語っている。 民主党政権も最近、普天間問題などで在日米軍の抑止力を認める方向へと政策転換しつつある。広島平和宣言は、こうした流れにも逆行するものだ。 宣言に盛り込まれる「非核三原則の法制化」も、非現実的な提案だ。核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とする三原則は日本の国是とされてきたが、核搭載艦船の一