天皇陛下が退位の意向をにじませるお気持ちを表明したことを受け、「戦後」について考え続けてきた文芸評論家の加藤典洋さんに話を聞いた。 ◇ ――天皇陛下の「お言葉」を、どのようにお聞きになりましたか。 やむにやまれぬ一世一代のコミットメント(関与)だったと思います。昭和天皇は二・二六事件の鎮圧と終戦でのポツダム宣言受諾(降伏決断)という、二つの「聖断」をしたことで戦後も存在感を持ってきました。今回、現天皇が事前告知をして国民に自分の考えを述べたことは玉音放送を彷彿(ほうふつ)とさせますが、この「戦後の玉音放送」で初めて昭和天皇をしのぐ存在感を得たと言えるのではないでしょうか。 これはあくまで私の個人的な感想になりますが、表明には直接的、間接的な理由が考えられます。直接的な理由は、後継ぎ問題など皇室制度の制度疲労への危機感から来る問題提起です。 間接的な理由は、安倍政権の改憲志向への懸念です。自
![「天皇と戦争」どう考える 加藤典洋さんに聞く:朝日新聞デジタル](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e3ca10673ca943e26cb6bd295a698cb03bc2ec80/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.asahicom.jp%2Fimages%2Flogo_ogp.png)