旅行さきのホテルの部屋に備え付けてあった『JAPAN NOW』という冊子に、南部陽一郎さんの談話が出ていました。『ノーベル賞、日本は騒ぎすぎ』という表題です。その始めのところを転載させていただきます。 ■ ノーベル賞受賞の知らせは、驚いただけで、別にとくに感想はありません。毎年そうした話がありましたから「まさか」と思いました。家内も「詐欺ではないか」とか「冗談では」と最初は本気にしませんでした。 ここ、シカゴ大学は2010年に120周年を迎えますが、私も入れて82人のノーベル賞学者を出しているので、ノーベル賞だからといって、特別騒ぎ立てることはありません。当人も周囲も皆、受賞前も受賞後も、変わりなく過ごしています。物理学賞に限っても28人いますので、珍しくないのです。 日本のマスコミの騒ぎ方は尋常ではありません。受賞の通知のあった朝、大学で記者会見をすることになり、私が校内を歩いてい