冤罪の発生、とりわけ犯人でない人がウソの自白をしてしまう現象について、心理学的に考察した本を二冊読んだ。 浜田寿美男『自白の心理学』(岩波新書) スコット・O・リリエンフェルド、スティーヴン・ジェイ・リン、ジョン・ラッシオ、バリー・L・バオアースタン著 八田武志、戸田山和久、唐沢穣監訳『本当は間違っている心理学の話 50 の俗説の正体を暴く』(化学同人) 『自白の心理学』では、自白にまつわる三つの問題について、現実の冤罪事件に沿って解答を与えている。即ち、 なぜ犯人でないのに、死刑の可能性が高い事件で、ウソの自白をしてしまうか。 あまつさえ、なぜウソの犯行の詳細を、取調官の要求を満たすよう作り上げてしまうのか。 自白調書の分析(「無知の暴露」の発見等)によって、自白がウソである=冤罪の可能性を示すことができるか。 である。 この本で詳しく取り上げられている冤罪事件は、宇和島事件(窃盗)、甲