【バンコク=石崎伸生】洪水被害が広がるバンコクで、北東部のサムワ運河の水門を巡る住民同士の対立が先鋭化している。 上流側住民は地区の冠水がひどくなるとして水門の一部を壊すなど過激化しており、バンコク東部への流量が急増してバンチャン工業団地方面が冠水する危険が指摘されている。 上流側住民は10月末、運河からあふれる水を下流に流してほしいと行政当局に迫り、開口部をそれまでの50センチから1メートルに広げさせた。この間、一部住民がつるはしで水門の壁を破壊して下流の冠水が拡大。下流側に住むチャイアルンさん(36)は「壊すなんてひどすぎる」と憤る。下流側住民は土のうを積み上げ、水の流入を防ぐ作業に追われている。