タグ

ブックマーク / traindusoir.hatenablog.jp (31)

  • デレック・ボック(土屋直樹他訳)『幸福の研究 ハーバード元学長が教える幸福な社会』 - 備忘録

    幸福の研究―ハーバード元学長が教える幸福な社会 作者: デレック・ボック,土屋直樹,茶野努,宮川修子出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2011/09/23メディア: 単行購入: 2人 クリック: 62回この商品を含むブログを見る 書は、原題に"The Politics of Happiness"とあるように、「政治」に関心をもつものであり、現代的功利主義の可能性と問題点を論じている。幸福の研究は、ベンサムの時代には成し得なかった人々の幸福度を測ることや、人々の幸福度を高め、あるいは低める要素をみつけ出すことを可能にした。しかし、研究結果は、幸福度を政府の目標とすることに疑問をもたせるものでもある。米国の1人あたり所得は大幅に増加しているが、幸福度の平均水準は過去50年間ほとんど上昇していない(イースタリン・パラドックス)。人々は、日常の出来事や生活の変化から生じる幸福感や不幸

    デレック・ボック(土屋直樹他訳)『幸福の研究 ハーバード元学長が教える幸福な社会』 - 備忘録
    masato611
    masato611 2012/02/21
    「自分だけの経済」や幸福度を追求するということの根底には、現下の経済の大停滞は構造的なものであって、この傾向は今後も変わらないであろうという見方がある、と考えて間違いはない
  • 今年の10冊 - 備忘録

    恒例のことでもあるので、今年もこのエントリーを書くことにする。 1.カーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ『国家は破綻する 金融危機の800年』 国家は破綻する――金融危機の800年 作者:カーメン・M ラインハート,ケネス・S ロゴフ日経BPAmazon やはり今年、第一にあげるべきなのはこの。2008年秋に始まった経済危機は、日の「文脈」では歴史の彼方だが、現実は、まだその渦中。 2.翁邦夫『ポスト・マネタリズムの金融政策』 ポスト・マネタリズムの金融政策 作者:翁 邦雄日経BPマーケティング(日経済新聞出版Amazon 金融政策についての「骨太」の書。バランスのよい整理。 3.平井俊顕監修『危機の中で〈ケインズ〉から学ぶ 資主義とヴィジョンの再生を目指して』 危機の中で〈ケインズ〉から学ぶ――資主義とヴィジョンの再生を目指して 作者:浅田 統一郎,小野 善康,間宮 陽介,伊

    今年の10冊 - 備忘録
  • ジョージ・アカロフ、レイチェル・クラントン(山形浩生、守岡桜訳)『アイデンティティ経済学』 - 備忘録

    アイデンティティ経済学 作者: ジョージ・A・アカロフ、レイチェル・E・クラントン,山形浩生、守岡桜出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2011/07/21メディア: 単行購入: 4人 クリック: 128回この商品を含むブログ (18件) を見る 経済学では、人間の行動の動機を効用関数の最大化として記述し、効用とは、主に消費や収入、余暇時間等によってきまるものとされている。また、効用関数は、個々の人間の嗜好や選好によって異なるものとされる。ここで、嗜好や選好はあくまで個々の人間に属する特性であり、まわりの環境には依存しない。だが、現実には、人間の行動は、自分が所属する社会の規範にも左右される。このことは、経済学のオーソドックスな記述の仕方を、より現実に近い記述の仕方に見直すことができる可能性を示唆するものである。 書が取り扱うのは、そのひとつのアプローチである。人間には、個人の

    ジョージ・アカロフ、レイチェル・クラントン(山形浩生、守岡桜訳)『アイデンティティ経済学』 - 備忘録
    masato611
    masato611 2011/08/30
    人間の行動は、これら効用の合計値を最大化するよう決定されるものと考える。
  • 2008年12月データによるNAIRUの再推計−結果は3.51〜3.61% - 備忘録

    (過去のエントリー) NAIRUの推計−結果は3.62〜3.76% 2008年8月データによるNAIRUの再推計−結果は3.54〜3.57% 「インフレを加速させない失業率」(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment: NAIRU)は、おおむね自然失業率に相当するものとみなされるもので、来、それほど大きく変化するものではありませんが、2008年12月までのデータが出そろったので、再度推計を行います。 具体的な推計方法は、過去のエントリーをご参照ください。前回の推計方法と変えた点は、参照するデータ(修正コアCPI、完全失業率、価格ショック指数)の作成手順を若干変更したこと、四半期データを用いたことです。参照データを用いたフィリップス・カーブは、下図のようになります。 推計モデル 前提となる期待修正フィリップス・カーブは、下のように表現さ

    2008年12月データによるNAIRUの再推計−結果は3.51〜3.61% - 備忘録
    masato611
    masato611 2009/02/12
    以上の推計により、日本のNAIRUは、おおむね3.51~3.61%となることがわかります
  • J・M・ケインズ「雇用、利子および貨幣の一般理論 下」(1) - 備忘録

    雇用、利子および貨幣の一般理論〈下〉 (岩波文庫) 作者: ケインズ,John Maynard keynes,間宮陽介出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/03/14メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 71回この商品を含むブログ (33件) を見る 第19章 貨幣賃金の変化 (世の通説では)貨幣賃金の切り下げは、ある程度の影響を総需要に及ぼすが、貨幣賃金が切り下げられなかった他の労働者では、物価の下落によって需要は促進される。貨幣賃金の変化に対する労働需要の弾力性が1を下回ることがなければ、雇用量が増える結果、労働者全体の総需要は高まる可能性が高い、とする。この基原理は、個々の産業の需要表は、他の産業の需要表と供給表の性質そして総有効需要額がいずれも所与だとの仮定があって、始めて構築することが可能。このような(古典派の)流儀で、貨幣賃金の切り下げが雇用に与える影響について

    J・M・ケインズ「雇用、利子および貨幣の一般理論 下」(1) - 備忘録
    masato611
    masato611 2008/05/13
    インフレとデフレは非対称的。完全雇用に必要とされる水準以下への有効需要の収縮は、物価とともに雇用を低下させるのに対し、この水準を超える有効需要の拡大は、物価に影響を及ぼすだけ。
  • J・M・ケインズ「雇用、利子および貨幣の一般理論 上」(3) - 備忘録

    雇用、利子および貨幣の一般理論〈上〉 (岩波文庫) 作者: ケインズ,間宮陽介出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/01/16メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 296回この商品を含むブログ (54件) を見る 驚嘆の書 ケインズ「一般理論」は、個々の経済主体の行動に関するものでなく、主として一国経済についてアグリゲートされた集計量の間の関係を論じるものであり、マクロ経済学はここに始まるといっても過言ではない。現代のマクロ経済学の大きな要素が、この一般理論から受け継がれているのである。 一般理論では、「古典派経済学」が批判される。ここにいわれる「古典派経済学」は、(クルーグマンのこの論説でも指摘されているように)今の言葉でいう「新古典派」とはいささか異なる。ケインズが批判の矛先においたのは、総需要と総供給があらゆる雇用量において均衡し、供給それ自身が需要をつくり出す(セイ法

    J・M・ケインズ「雇用、利子および貨幣の一般理論 上」(3) - 備忘録
    masato611
    masato611 2008/05/03
    この時代の標準であった「古典派経済学」は、完全雇用という希にしか起こらない世界に関する理論であり、非自発的失業が常態的に生じている現実の世界に関する理論を構築したものであることを意図して、本書は「一般
  • 「医師不足」と「理系離れ」の間に感じる違和感 - 備忘録

    昨今、目につく報道に「医師不足」の問題があり、医師の勤務環境の過酷さ、特に、産婦人科、小児科での医師の不足、病院における患者の受入れ拒否等さまざまなかたちで取り上げられている。その原因としていわれているのが、大学医局の求心力の低下、新人医師に対する臨床研修制度、医療費の削減、他に、産婦人科医では訴訟リスクの高まりなどである。それらに加え、医師の絶対数に関する指摘もあり、1997年の医学部定員の削減に関する閣議決定をその原因だとしている。 これらは、ある程度事実なのだと思うが、この問題を考えるのはここでの主旨ではない。医師不足やその過酷な勤務環境に関する多くの報道がある一方で、昨今の医学部人気は凄まじく、「理系離れ」といわれる中で、医学部だけは異彩を放っているのである。しかし、それはさもありなん。下は、40歳代前半の所定内給与(残業代、ボーナス等を含まない月例の基給)について、調査対象職種

    「医師不足」と「理系離れ」の間に感じる違和感 - 備忘録
    masato611
    masato611 2008/04/29
    理系離れや技術者の不足が、資源配分の歪みの結果であるとすれば、累進課税の強化によって社会の効率を改善することができる
  • シンシア・シャピロ「外資系キャリアの出世術 会社があなたに教えない50の秘密」 - 備忘録

    外資系キャリアの出世術 作者: シンシア・シャピロ,野津智子出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2008/02/29メディア: 単行購入: 3人 クリック: 78回この商品を含むブログ (19件) を見る 組織人としての作法 原題は"Corporate Confidential"。米国企業の元人事担当役員の著者によるものだが、ネット各所での感想にあるように、内容の質的な部分は日企業にも通底する。例えば、『単に個人的な利益や快適さを得ようとするのではなく、会社やその利益を「所有している」のだという高いレベルの意識を、あなたは持つ必要がある』『価値観が一致していると判断された人は、技術や業績の程度にかかわらず、出世するのである』といった言葉から受ける印象は、この国の企業そのものではないだろうか(たぶん)。同書で論じられているのは、一般的な意味での組織人のあるべき姿そのものである。

    シンシア・シャピロ「外資系キャリアの出世術 会社があなたに教えない50の秘密」 - 備忘録
    masato611
    masato611 2008/04/20
    『価値観が一致していると判断された人は、技術や業績の程度にかかわらず、出世するのである』
  • フリードリヒ・A・ハイエク「法と立法と自由[1] ルールと秩序」(1) - 備忘録

    法と立法と自由I ハイエク全集 1-8 新版 作者: ハイエク,西山千明,Friedrich August von Hayek,矢島鈞次,水吉俊彦出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2007/12メディア: 単行購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブログ (18件) を見る 序言 自由人からなる社会の存続は、これまで十分に解明されてこなかった3つの基的洞察に依拠するものと認識−(1)自生的秩序と組織は別物であり、その差異は、これらを支配する異なった種類のルール・法に関係づけられる、(2)今日の社会的正義・分配的正義は、組織の範囲内でしか意味を持たず、自生的秩序とは両立しない、(3)同一の代表機関が正しい行動ルールを制定すると同時に政府にも指示をする自由主義的民主制度の典型的モデルは、全体主義的システムへと次第に変容していく。 今日の「設計主義的合理主義」は、(1)既存の諸制度

    フリードリヒ・A・ハイエク「法と立法と自由[1] ルールと秩序」(1) - 備忘録
    masato611
    masato611 2008/03/18
    自生的秩序を組織で置き換え、構成員の間に分散している知識をできるだけ多く利用するのではなく、直接の命令によってそれに介入しこの秩序を改良・修正することは不可能(市場秩序への干渉・介入に対する反対の骨子
  • 山中優「ハイエクの政治思想 市場秩序にひそむ人間の苦境」 - 備忘録

    ハイエクの政治思想―市場秩序にひそむ人間の苦境 作者: 山中優出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2007/03/09メディア: 単行 クリック: 15回この商品を含むブログ (18件) を見る 第3章までは、とても興味深く読み、第4章の後半以降は、違和感を持ちつつ読んだ。ハイエクの自由論を、義務論と帰結主義の併用という視点からみる第2章、ヴァンバーグのハイエク批判を取り上げる第3章など、前半は各章に読み応えがあり、勉強になる。後半は、特に終章の日に当てはめた議論はステロタイプであるが、実証に耐え得る議論とは思われない。(近年の日についての自分の見方は、「日版ニュー・エコノミー論と格差問題」(サイドの「リンク集」を参照)に書いた通り。) 以下、各章の大要。 序章 なぜ今ハイエクか? 第1章 全体主義批判 ”市場さもなくば隷従” ハイエクはいわゆる「中道」路線を否定し、いわば”市場

    山中優「ハイエクの政治思想 市場秩序にひそむ人間の苦境」 - 備忘録
    masato611
    masato611 2008/02/03
    ハイエクの自由論の最大の特徴は、無知の承認による自由の擁護。分散的知識の活用を促す選択の自由は、一方で、個人に厳しい自己責任を負わせる。具体的目的の如何に関わらず、広く妥当する行為ルールを、ハイエクは
  • フリードリヒ・A・ハイエク「自由の条件[3] 福祉国家における自由」(1) - 備忘録

    自由の条件3 ハイエク全集 1-7 新版 作者: 西山千明,矢島鈞次,気賀健三,古賀勝次郎出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2007/11/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (15件) を見る 第17章 社会主義の衰退と福祉国家の興隆 政府の福祉活動が自由の脅威となる理由は、それらが単なるサービス活動として提供されるとしても、実際には、政府の強制力の行使を含み、排他的権利を要求すること。 (1)ある限度の保障で、全員にとって達成可能な、いかなる特権ともならない保障と、(2)絶対的な保障で、自由社会において全員にとっては達成不可能な保障を区別することが必要。もし政府が、全ての人にある標準の達成を望むなら、その点に関する全ての選択を個人から奪う。福祉国家は、家政国家となるだろう。 企業独占の問題は、それほどの重要性を持たない。特定の独占に対する政府の

    フリードリヒ・A・ハイエク「自由の条件[3] 福祉国家における自由」(1) - 備忘録
    masato611
    masato611 2008/01/13
    自由社会におけるこれらの問題の解決策は、(1)国家は、自らを養うことのできない者全員にある均一の最低限の世話を行い、(2)周期的失業を適切な通貨政策によってできるだけ減らす努力をすること。それ以上の世話を求め
  • 山田昌弘「希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く」 - 備忘録

    希望格差社会―「負け組」の絶望感が日を引き裂く (ちくま文庫) 作者: 山田昌弘出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/03/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 89回この商品を含むブログ (82件) を見る コメント 一読して判るように、書の時代認識は、以前に当ブログでも取り上げた高原基彰「不安型ナショナリズムの時代」とほぼ一致している。というか、同書が書から強い影響を受けているということなのだろう。これらに共通する時代認識は、今でも多くの若年格差論の重要な骨格を成しており、この問題を(景気循環的な観点からではなく)歴史的な視座から捉えることの有力な根拠となっている。この様な時代認識、特に労働やグローバル化に関する見方*1についての批判は、既に行った高原への批判で概ね事足りていると思う。 著者の言う「パラサイト・シングル」は、豊かさの中に潜む貧困の可能性を指摘し

    山田昌弘「希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く」 - 備忘録
    masato611
    masato611 2007/10/17
    これらの産業における低賃金労働も維持されることに繋がっている。また、「希望」を生活満足度に置き換えると、長期的に変動の少なかった日本の生活満足度は、1990年代以降に急速に低下しているのである(白石・白石
  • 賃金は何故上昇しないのか? - 備忘録

    09/23/07付け日経済新聞「エコノ探偵団」でも特集されていましたが、景気回復が進み完全失業率が大きく低下する中で賃金の上昇がみられないといことは、色々な場面で取り上げられているようです。以下の論点は、某所の偉い人への説明の際に聞かれる可能性があるので、自分が急遽まとめたもの、今現在のこの問題に対する自分自身の認識です。 1.完全失業率は低下しているものの、消費者物価上昇率の上昇が加速する状況にはない。このことは、自然失業率は現下の完全失業率の水準よりも低いことを示しており、労働市場の需給状況は必ずしも逼迫していない。。*1 2.1990年代の長期不況は非正規雇用の増加を加速したが、(1.の要因とも相俟って)それが反転する兆しは見られない。また、中小企業の付加価値生産性の上昇は相対的に低く*2、マクロ的な付加価値生産性の高まりが(労働者の構成上多くを占める)中小企業従業員の賃金上昇に繋

    賃金は何故上昇しないのか? - 備忘録
    masato611
    masato611 2007/09/27
    雇用・賃金問題まとめ。企業経営や企業の人事システムが変化し、付加価値生産性の高まりが労働者へと流れる仕組みが弱まり、付加価値生産性の高まりは利益向上へと向かう傾向が強まる。またその背景には、労働組合組
  • フリードリヒ・A・ハイエク「隷従への道 全体主義と自由」 - 備忘録

    隷従への道―全体主義と自由 作者: フリードリヒ・A.ハイエク,Friedrich A. Hayek,一谷藤一郎,一谷映理子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1992/07メディア: 単行購入: 5人 クリック: 35回この商品を含むブログ (35件) を見る 第1章 見捨てられた道 欧州近代史の全期を通じ、社会発展の一般的方向は、慣習・法規により拘束された個人を開放することにあり、その最大の結果は、驚くべき科学の進歩。しかし自由主義政策の緩やかな進歩への「苛立ち」から、世紀の転換期頃、その基的教義に関する信念が放棄されることになる。この様な思想的方向の変化は、これまで思想が場所的に移動した方向と明らかに全く逆。 第2章 大きなユートピア 根的に個人主義的制度である民主主義は社会主義と調和せずに対立することをド・トクヴィルは認める。「民主主義はすべての可能な価値を個人に認めるが

    フリードリヒ・A・ハイエク「隷従への道 全体主義と自由」 - 備忘録
    masato611
    masato611 2007/09/08
    ハイエクの特徴はルールを重視し恣意性を持つ計画主義に批判的な所にある。個人の目的や欲望が複雑に絡む近代社会では、情報を伝達する価格機構(=市場経済)が重要であり、それによって個人を目的とすることは可能
  • 藤井良広「金融NPO−新しいお金の流れをつくる」 - 備忘録

    金融NPO―新しいお金の流れをつくる (岩波新書) 作者: 藤井良広出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/07/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 38回この商品を含むブログ (28件) を見るコメント 地方の農村部には互酬的な交換の仕組みが根付いており、それが、表面的な数字には表れてこない生活の「豊かさ」をその地域にもたらしている。この様な互酬的な交換経済が成立する基盤には、当該地域内の強い信頼関係がある。また、その様な信頼関係は、3世代家族が一般的な中で、親の代からの人間関係が継続していることに加え、仕事、冠婚葬祭、地域活動、子供の教育等の関係を通じて、次第に形成されてきたものであると言える。 金融NPOは、この様な地域経済にみられる「互酬」性を金融取引の世界にも形成する試みである。(地域経済の中にも、その原形的なものとして頼母子講・無尽等がある。)金融NPOの一般

    masato611
    masato611 2007/09/08
    この様な仕組みは、営利の世界における民間金融会社の融資を補完し、多様な資金ニーズに応えることを可能にする。金融NPOは、社会の多様な資金ニーズに応え、富の偏在による貧困の問題を緩和していく上でも貴重な
  • ジョン・マクミラン「市場を創る バザールからネット取引まで」 - 備忘録

    市場を創る―バザールからネット取引まで (叢書“制度を考える”) 作者: ジョンマクミラン,John McMillan,瀧澤弘和,木村友二出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2007/03/01メディア: 単行購入: 6人 クリック: 178回この商品を含むブログ (57件) を見るコメント 原題は"Reinventing the Bazaar, A Natural History of Markets"。標題の通り市場を如何に「創る」かという点に力点が置かれた書であると思う。市場とは「唯一の自然な経済」であり、どの様な環境においても、自生的で立ち直りが早い(ガーナのマコラ市場の事例)。しかし、それは「人間的な不完全性を伴った、人間による発明物」であり、ルール、慣習、制度による支えを必要とする。市場をうまく機能させるには、(1)情報の流通(情報の非対称性)、(2)信頼、(3)競争の促

    ジョン・マクミラン「市場を創る バザールからネット取引まで」 - 備忘録
    masato611
    masato611 2007/09/08
    貧困を嫌悪している政治的に極左の人々は、貧困を固定化する政策を支持している。市場を尊重する自由放任主義の熱狂的な支持者たちは、市場の崩壊を引き起こすシステムを提唱している。市場をうまく機能させるには、
  • ロバート・フランク“Falling Behind”(その1) - 備忘録

    Falling Behind: How Rising Inequality Harms the Middle Class (The Aaron Wildavsky Forum for Public Policy) 作者: Robert H. Frank出版社/メーカー: University of California Press発売日: 2007/07/02メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見る コメント (第8章まで読了)同書では、「地位財」と区分されるある種の財が人々に顕示的な消費を志向させることから、格差の広がりがミドル・クラスの社会厚生を低下させる可能性が論じられる。米国では、1980年代以降、高所得者の所得がより高くなる傾向が顕著であり、しかも所得再分配の機能が低下していることから、その傾向は税引き後ではより大きなものとな

    ロバート・フランク“Falling Behind”(その1) - 備忘録
    masato611
    masato611 2007/09/08
    格差の広がりは、幸福の低下とも関係があるが、これは身近な人間関係の中での相対的な所得の水準が幸福と関係を持ち、「地位」を巡る競争の中で、余暇等の縮小を招きがちであるという傾向を経由することにより、説明
  • ロバート・フランク“Falling Behind”(その2) - 備忘録

    Falling Behind: How Rising Inequality Harms the Middle Class (The Aaron Wildavsky Forum for Public Policy) 作者: Robert H. Frank出版社/メーカー: University of California Press発売日: 2007/07/02メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見る コメント 第10章以降では、米国における広がる格差の要因として、ウィナー・テーク・オール社会のメカニズムが論じられる。これは、小さなパフォーマンスの差が極端に大きな報酬の差を生むことを表し、新たなテクノロジーが最も有能な者のサービスを複製可能にすること等によって生じる傾向である。格差が拡大する要因は様々なものが考えられるが、学歴、職種等どん

    ロバート・フランク“Falling Behind”(その2) - 備忘録
    masato611
    masato611 2007/09/08
    米国における広がる格差の要因として、ウィナー・テーク・オール社会のメカニズムが論じられる。これは、小さなパフォーマンスの差が極端に大きな報酬の差を生む。トップ層のこれまでにない高い報酬は、また、これま
  • 労働生産性の企業規模間格差拡大の要因 - 備忘録

    1.資装備率の企業規模間格差の拡大。ただし、資装備率だけでなく資生産性もまた規模間格差の拡大に大きく寄与しており、これだけで説明しきることは困難。(注 ここでいう資装備率は、従業員1人あたりの土地を除く有形固定資産であり、厳密な意味での生産設備を取り出しているわけではない。また、稼働率も加味していない。) 2.1990年代の、特に大企業における費用節約的な動きが、下請企業に対するコストカット要求などを通じて企業規模間の体力格差を広げ、さらに景気回復期においてもデフレは継続していることから価格上昇には繋がらず、労働分配率の規模間格差を大きくしたこと。 3.国内産業の構造調整が長期不況下の労働供給圧力の高まりによって十分に働かず、衰退産業が温存されたため。労働供給圧力の高まりは、大企業においては一層のコスト削減を可能にし、規模間格差をより大きなものにする。 といった感じかなぁ... (

    労働生産性の企業規模間格差拡大の要因 - 備忘録
    masato611
    masato611 2007/07/28
    1990年代の、特に大企業における費用節約的な動きが、下請企業に対するコストカット要求などを通じて企業規模間の体力格差を広げ
  • 佐藤俊樹「不平等社会日本 さよなら総中流」 - 備忘録

    不平等社会日―さよなら総中流 (中公新書) 作者: 佐藤俊樹出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2000/06/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 54回この商品を含むブログ (108件) を見るコメント 格差問題に関して、書が主たる関心を呼んだのは、年功序列的な雇用管理によって生じる「経路依存性」をコントロールした職業の世代間相関性をみると、ホワイトカラー上位層職種(W雇上)では、「団塊の世代」から、職業の「閉鎖性」は高まったという事実を提示したこと。高度経済成長等を背景に、非W雇上出身(父親がW雇上)からのW雇上へのなりやすさは高まっている一方で、「団塊の世代」では、W雇上出身の者が多いので、W雇上出身がW雇上になりやすいと、非W雇上出身の者がそこから締め出される。これによって、この「閉鎖性」は生じたことが示されている。この含意に対しては、例えば、盛山和夫氏の批判な

    佐藤俊樹「不平等社会日本 さよなら総中流」 - 備忘録