真冬の朝。空気すら凍りつくような、肌に刺さるような酷寒の朝。 雪が降っている。既に足元にも厚い雪の層が出来上がっていた。子供の頃なら心も躍ったろうが、今の私は目の前の現実や生活に追われる身。そんな世界の奇跡に心を奪われている時間も、余裕もない…。 せめて、この薄汚れた世界を少しでも浄化してほしい…。私は刹那天を見上げ、そして正面を向き歩を進めようとした。 門に誰かが佇んでいる。いや、倒れているのか? 心がざわつく。もしかしたら既に急を要するような事態に陥っているのかもしれない! 私は駆け寄り、抱き起こした。そして、呼び掛ける。 「あのっ!もしもし!大丈夫ですか!」 大丈夫な筈がない。その人はこの天候なのに真夏の格好をしているのだ。そして、アコースティックギターを抱えている。だが、生きているのは分かる。その生命の灯びが今にも消えようとしているのか、そうでないのか…。 そんなことを考えている場
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