田中秀臣さんに「フランスネタを…駆使して愛嬌、、もとい経済学のとっつきにくさをカバーしようとしてい」る「日本の経済学論壇系ブログ」と過大評価されてしまったので、とりあえず経済(?)の話題をひとつ。 ポワラーヌというパン屋を知っているだろうか。パリは6区、シェルシュ・ミディという細い裏通りにあるが、フランス最高の田舎パン(pain de campagne)を提供することで世界中に知られている(くせに、ぼくが15年前に一度だけ行ったときの印象では小さく古い)店だ。いまはどうかわからないが、バブル華やかなりし時代には、日本のデパート(たしか高島屋)が週に一度田舎パンを空輸!!していたという記憶がある。そこの店主が、な、な、なんと……、という記事が『ル・モンド』土曜版に載っていたのを読んだのは、ラヴァルからレンヌに向かうTGVのなかだった。以下がその粗訳である。 「アポロニア・ポワラーヌ」(『ル・
このところNHK衛星ドキュメンタリーネタが続いていたのは別に経済学のとっつきにくさをカバーしようとしているわけではなくて、単に最近経済学の勉強をしていないのでネタ切れというだけなんですが、われながらいい加減マンネリ気味だと思うのでこのへんで総括と言うことにしたいと思います。 このブログでもたびたび紹介してきた、NHKBS「世界のドキュメンタリー」では、中国とかインドとかいった途上国の中の「勝ち組」を含め、グローバリズムの負の側面にも鋭く踏み込んだ番組がたびたび放送される。もちろん、その内容を全て鵜呑みにするのは危険だが、多くの場合それらは開発とかグローバル化とかいった問題を抽象的に考えていく時には抜け落ちてしまいがちな、現実の問題に気付くための貴重な機会を提供してくれる。 ただ、ヨーロッパのメディアによって製作された番組に顕著な、人道主義的な観点から途上国の現場で行われている「悪」を厳しく
えーっと、いろいろとコメントしようと思っている内容がたまっているんですが・・・生産性と賃金の関係(山形・池田論争)とか、再利上げとか・・・しかし、今年は出来るかぎり論文数を増やそうと思ってやっているので、なかなか気軽にblogを書く時間がなかったりします。 まあ、あせってもしょうがないので、ひとつずつ出来る範囲内で書いてみます。 まず、2月15日に2006年第4四半期のGDP1次速報値が出たので、その件から。 [景気は力強い?] 実は1次速報が出た直後から新聞やインターネットで「実質GDPは2006年第4四半期(10-12月期)は第3四半期(7-9月期)に比べて1.2%成長した(年率で4.8%成長)。景気は力強い」という報道や意見をよく目にするのですが・・・ 10─12月期実質GDPは前期比年率+4.8%、景気回復継続を確認=内閣府 [東京 15日 ロイター] 内閣府が発表した2006年1
法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。 コメント欄で紹介されていた、2月22日法務省HP公表に係る、新司法試験の内容に関する法科大学院協会に対するヒアリング(↓)に対する感想です。 http://www.moj.go.jp/SHINGI/SHIHOU/061215-5.pdf 法科大学院協会の意見の要旨をまとめると、 1 法科大学院での成績と、新司法試験での成績はある程度の相関性がある 2 公法系・民事系を中心に、新司法試験の出題内容が法科大学院での教育内容よりも超過しているという意見が多かったが、教員たちの中では、授業内容に大きな変更を要するという意見は少なかった。 3 論文試験の出題形式は良かったと思うが、試験時間と比較して必要な作業量が多すぎるため、結局表面的な知識で回答せざるを得ない試験になってしまったのではないか
ためし読み 2024/8/20 岸 圭介 そのことばは子どもに正しく伝わっていますか?――ことばの「意味」と「価値」を伝える教育 『学力は「ごめんなさい」にあらわれる』より「はじめに」を公開!
最近の芥川賞の選評はおよそゆるしがたいものがある(おっと大きく出たぞ!)。その主要な理由は、各人の選評の前提となる部分に、「そもそも私たちの純文学とはどのようなもの(たるべき)か?」という問いがいっさい感じられないからだ。 日本で最も注目される文学賞として直木賞は大衆文学を担い、芥川賞は純文学を担うものと、自他ともに認知されているわけだけれど、選考委員の選評をいくつか読んでいると、まるで自分が当の純文学なるものを体現しているのだとでもいうように、評価をくだしている。 彼らは、文学の値打ちは「理屈よりも感性にある」と言ってはばからず、知的操作よりも感情移入を優先する。素材(ネタ、物語内容)的には、社会的規範の相対化(による救いのない暗さ)よりも、癒しなり希望の光を求めるのだ。つまり皆が示し合わせたごとく一様に、価値の相対化と知的操作を否定し、癒しと感性を求めてやまない。最近の文芸誌は、知的操
さて、レヴィ=ストロースのいう「真正性の水準」について、戦略的本質主義もコミュニタリアンも見落としているということ、この「真正性の水準」において、「役割連関」(有機的連帯)による関係性が、それだけでは留まらず、根源的な社会的連帯(機械的連帯)としての「〈顔〉のある関係」の相を帯びるということ、そして「真正性の水準」におけるそのような「関係の過剰性」(「しがらみ」と言い換えてもいいでしょう)においてこそ、差異や多様性を保持できるのであり、個人化による自己選択は、むしろ差異や多様性を失わせるということを述べたいと思います。 真正性の水準とは、「まがいものの(非真正な)社会」と「ほんものの(真正な)社会」を区別するということです。現代では、大多数の人々と、行政機構や文書、新聞、雑誌、写真、ラジオ、テレビなどの媒体(メディア)を通した交流をするようになっているが、それらの媒体は、そこに「まがいもの
『表現者 2007年 03月号』に触れたエントリーにおいて、「八木さんの、『基本法が悪いから○○とか××などの問題が生まれているのだ』ということは実はあまり信じておらず、“為にする議論”なのは分かっていたが基本法改正を実現させるためにあえて繰り返していたというような発言は、いろんな意味で貴重」と書きました。その部分について、id:NEAT さんより以下の指摘を戴きました。 おそらくchikiさんが引かれているのは下記の箇所ではないかと思います。 マスコミが議論していた愛国心だとか伝統、文化だというのは、私は目くらましだと思ってきたんです。 もしかしたら、 chiki さんの引かれた箇所とちがっているかもしれません。ですが、もしそうだとしたら、 chikiさんが指摘されているようにまで、解釈して良いかどうかは「微妙」ではないでしょうか?読者の判断を待ちたいと思います。 ところで、私には実は頭
●都知事選挙にどうしても菅氏を立てたい民主党の党内情勢。それだけ菅氏を追い払いたいみたいだ。補欠選挙で後釜を狙う都議もうごめき出す。このままなし崩しに立候補させれば、菅氏は選挙区のない根無し草になる。 もし菅氏が知事選挙に出れば国会議員は失職するから、衆議院補選が行われる。そこでは自民党から土屋武蔵野前市長が出て、民主党はへなちょこ若手候補が出て、土屋が勝つ。そうすると、自民党の比例代表が欠員になるけども、自民党の比例名簿の補充はないから、民主党に議席が渡り、旧新進党の中山義活が繰り上げ当選。つまり菅さんの議席が、新進党に渡るということだ。都内から菅氏の影響力も一呼吸おける。これは、都内選出の民主党国会議員のなかで、反菅派である小宮山、松原、長島、蓮ほう、末松議員には願ってもないことだろう。さらには、日和見の長妻、鈴木寛も都知事選挙に出す=菅おろしの策謀に抵抗できないだろう。 民主党支持者
アラン・ソーカルによって、知識の示し方における欺瞞性としてポスト構造主義の何人かの思想家が批判されるという事件は、90年代の終り頃に起きている。ソーカルはニューヨーク大学の物理教授であり、主にそれが自然科学の用語の濫用にあたるというものだった。しかし日本の文脈においては、同じソーカルの言ったような思想の記述を巡る問題性とは、既にずっと早くから、明瞭に指摘されていたものといえよう。何もソーカルの批判、知の欺瞞を待つまでもなく、ポスト構造主義の持つ傾向については的確な批判が指摘されていた。ソーカルの批判は、それをより明確に科学的な水準で我々に了解させたというだけで、同じ問題とは、もちろん最初からあった問題であったのであり、それをどう批判し乗り越えるかという立場を示すロジックとは、日本の文脈で、非常に明瞭な形式で指摘は為されていた。柄谷行人の次のような指摘を見てみよう。 「形式化」は、ポスト構造
finalventさんの「農地改革メモ」を読んで、以前書いたものに手を加えてみたくなった。 先日、「亡国マンション」を読んだ。 亡国マンション The Truth of Defective Condominiums (光文社ペーパーバックス) 作者: 平松朝彦出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/01/24メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (9件) を見る 本当に地価を高く維持しようという意思をもった執政者がいたのか、いるとすれば誰なのかぼんやり考えていた。先日、都内へ行った時、超一等地にたつピカピカの高層ビルを見つけた。ああ、そうなのかもしれないと想った。 それは北一輝から始まる。 当時、肥大化した資本家、世襲的政治家が権力と富を独占しているように一般大衆レベルでは考えられていたようだ。一方で、理想主義的だった若手官僚と軍人たち
この記事は「犯罪被害者保護に一考」「刑法についての試論」「修復的司法批判メモ」「刑法39条を擁護してみる」 「刑事裁判への被害者参加」「stakeholder justiceへ」を素材として加筆・修正を施したものです。 刑罰の意味と役割 刑罰とは、社会秩序の維持を目的として、定められた「罪」が行われることを予防するために設定されているコストである。したがって、刑罰は基本的に目的刑でしか有り得ない。事前に罪とそれに応じた刑罰が定められている(罪刑法定主義)という前提の下で、合理的選択の結果として違法行為を為した者は、定められたコスト=刑罰を負わなければならない。多くの場合、既定の社会秩序に対する違反行為は社会道徳に対する違背行為と意味的に大きく重なり合って受容されるため、刑罰の執行は社会的には道徳的非難として受け取られる。こうした刑罰の社会的意味は、道徳的規律として副次的に社会秩序の維持に資
1,事件の概要 愛知県から来ました原田と申します。広島を訪れるのは四回目です。皆様とお会いできたことを本当にうれしく思っています。 僕の弟が殺された事件は二十年前のことですから、ご記憶は薄いかと思いますので、まず事件の概要をかいつまんでお話ししたいと思います。 事件があったのは1983年の1月24日のことです。僕は四人兄弟の長男なんですが、運送会社で働いていた一番末っ子の弟が、愛知県から大阪のほうへ出かける仕事をもらいまして、23日の夜遅くに出かけたんです。ところが、24日の早朝に交通事故でなくなったという連絡が入りました。 そういうことで、弟は交通事故で死んだんだと信じていたわけなんですけど、それから一年三ヵ月たった1984年5月、実は保険金殺人だったということがわかり、三人が逮捕されました。主犯は弟が勤めていた運送会社の社長であるH君でした。彼は僕よりも三つ年下ですから、その時には三十
藤井誠二のブログノンフィクションライター的日常思い通りにならないはずの他者を思い通りに「する」ことが好きで好きでたまらない人たち 『殺された側の論理』が来週(2月26日)本屋に並ぶ。装丁は鈴木成一さん。すばらしいお仕事をしてくださった。 昨年12月に上梓した『少年犯罪被害者遺族』について、内藤朝雄さんhttp://d.hatena.ne.jp/suuuuhi/20070218 が書評(図書新聞2006.12.17・2810号)を書いてくれた。書評を超えた社会時評である。 本人と版元の承諾を得て掲載させていだたくことにした。 それにしても、内藤さん書くところの、〔ケア・教育系の「する」「させる」情熱でもって、思い通りにならないはずの他者を思い通りに「する」ことが、好きで好きでたまらない人たち〕、言い方をかえれば「心に善意という土足で踏み込んできてコントロールしようとする人々」につい
Washington D.C. Representative Office 1 Washington D.C. Political and Economic Report Tomoyuki Oku 奥 智之 ワシントン駐在員事務所 所長 (202)463-0477, toku@us.mufg.jp 2007 年 2 月 21 日 ワシントン情報 (2007 / No.008) 米国における対米外国投資規制強化の動き 下院金融サービス委員会は 13 日、対米外国投資委員会(CFIUS)が外国企業による米企業の 買収を審査する際のルールを厳格化する CFIUS 改革法案を可決した。2005 年の中国海洋石油 (CNOOC)の Unocal 買収提案と、2006 年のアラブ首長国連邦(UAE)の公営港湾管理会社 Dubai Ports World(DPW)の米国主要港湾運営会社の買収を契機に、国
日銀が利上げした。将来、バブルが生じるのを防ぐのが狙いで、政府から独立して判断したという。しかし、政府とは景気認識が食い違っており、日銀が前のめり過ぎた可能性も否定できない。日銀法の改正も視野に入れて、独立性のあり方を見直す必要がある。 「個人消費の判断」2日で上方修正の危うさ ねじれた利上げ劇だった。与党は1月に議決延期請求権の発動をちらつかせ、利上げ見送りを迫った。それが独立性を冒すと批判され、動きにくくなった。 今回、政府、与党は金融政策は日銀の専管事項と繰り返し、独立性に配慮した。当初、政府、与党には圧力を控えても利上げは難しいという読みもあった。 ところが日銀はこれを逆手にとった。2006年10―12月の国内総生産(GDP)は堅調だった。個人消費は底堅いと判断を上方修正し、利上げに踏み切った。 政府は利上げが、日銀のこれまでの理論と食い違っている点を問題視している。 19日の月例
OpinionLeadersLetters to the editorBy InvitationCurrent topicsUS elections 2024War in UkraineIsrael and HamasThe World Ahead 2024Climate changeCoronavirusThe world economyThe Economist explainsArtificial intelligenceCurrent topicsUS elections 2024War in UkraineIsrael and HamasThe World Ahead 2024Climate changeCoronavirusThe world economyThe Economist explainsArtificial intelligenceWorldThe world t
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