先日、仕事で上海に出かけた際に、劉伝江ほか著『中国第二代農民工研究』(山東人民出版会)という本を見かけて購入した。いわゆる「第二世代の農民工」の意識や行動に関する、大規模なアンケート調査に基づいた包括的な研究書で、とても有益な内容だったので、簡単に内容を紹介しておきたい。 ここでいう「第二世代の農民工」とは、具体的には1980年代以降に生まれた一人っ子世代を指し、富士康で自殺が相次いだのも、まさにこの世代の若年労働者であった。 実際、事件の背景に「新世代(第二世代)の農民工」の意識の変化について考える必要があるのではないかという社会学者方の指摘もなされている(http://policy.caing.com/2010-05-28/100148097.html)。 いわゆる「農民工」については、日本ではこれまで「農村からの出稼ぎ労働者」という説明がなされてきた。しかし同書によれば、第二世代の農