結婚していない男女の間に生まれた子(婚外子)の遺産相続分を結婚している夫婦の子(嫡出子)の半分とした民法の規定が、法の下の平等を定めた憲法に違反するかが争われた家事審判の特別抗告審の決定で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は4日、規定を違憲とする初判断を示した。 相続規定は明治時代から引き継がれてきたが、「婚外子への差別だ」とする国内外からの批判が高まっている。最高裁が違憲と判断したことで、国会は法改正を迫られる。
ニコニコ動画にせよYouTubeにせよ、埋め込みタグによって自分のWEBページに動画を貼り付けることができる。このブログでも散々やってきたことなのだが、改めて考える素材として、貼りつけた動画が著作権者以外の者の手になる場合に、著作権者から公衆送信権侵害が主張された事件が現れた。 大阪地判平成25年6月20日(PDF判決全文) 事案は、簡単に言うと、Xが上半身裸で店に行き、警察に事情を聞かれるという一部始終を自らニコニコ生放送で配信したところ、何者かがその動画をニコ動に転載し、ロケットニュースがそのニコ動の動画を記事に貼り付けて批判的に取り上げ、さらに批判的なコメントが集まった。そこでニコ生に配信したXがロケットニュース運営会社のYに対して、法的責任を追及したというものである。 争点は、ニコ動の埋め込みタグを使って貼り付けた行為が、著作権(公衆送信権)侵害になるか、著作者人格権(公表権)侵害
盗撮しようとしたとして2つの罪で起訴された男に対し、東京簡易裁判所は、懲役刑の重いほうで処罰するという原則の例外を認め、罰金刑について、より重い東京都の迷惑防止条例を適用して罰金30万円の判決を言い渡しました。 この裁判は、ことし2月、羽田空港のターミナルビルで、作業員だった23歳の男が、女子トイレに侵入して携帯電話のカメラで盗撮しようとしたとして、刑法の建造物侵入と東京都の迷惑防止条例違反の2つの罪に問われたものです。刑法には「2つ以上の罪に触れるときは重い刑で処罰する」という規定があり、建造物侵入の罪は、懲役刑が条例違反より重いため、建造物侵入の罪で処罰するのが原則です。 しかし、罰金刑の額では、建造物侵入が上限10万円で、上限50万円の条例違反より軽く、検察が罰金刑を求刑したため、裁判ではどちらの罪を適用すべきかが初めて本格的に争われていました。 6日の判決で東京簡易裁判所の横川保廣
憲法記念日に憲法とは関係のない話だが、一応は憲法14条の問題でもある。 岡山の作花弁護士のブログによると、女性の再婚禁止期間を憲法違反だとする訴訟について、最高裁に上告されたそうである。 問題の条項は民法733条の規定だ。 (再婚禁止期間) 第七百三十三条 女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。 2 女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。 性別による差別を禁止している憲法14条の下で、そもそも女性のみを対象とする法規定自体が珍しい。 検索してみたところ、「女は」で始まる条文はこの民法733条のほか、婚姻適齢を定めた731条しかなく、「女性は」で始まる条文は労基法67条の育児休憩の保障、そして「女子は」で始まる条文は母子及び寡婦福祉法施行令と皇室典範にしかない。 (無論、格係助詞
埼玉県熊谷市で2008年、6人が死傷した飲酒運転事故で、運転手の飲酒を知りつつ車に同乗し、危険運転致死傷ほう助罪に問われた大島巧(いさお)(50)、関口淳一(48)両被告について、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は15日の決定で両被告の上告を棄却した。それぞれ懲役2年の実刑とした1、2審判決が確定する。 決定によると、両被告は同年2月、会社の後輩で元トラック運転手の男(懲役16年確定)と日中に同市内の飲食店で飲酒。次の店が開くまでの間、男が「(車で)一回りしましょうか」と提案したことに反対せず、運転を黙認して事故を招いた。 被告側は「運転の黙認だけでは、犯罪は成立しない」と主張したが、決定は「先輩が了解したことで、男が飲酒運転の意思を強くしたのは明らか。ほう助罪が成立する」と退けた。 両被告は当初、道路交通法違反容疑で書類送検されたが、より重い処罰を求めた遺族らの告訴があり、在宅起
昭和32年にアメリカ軍基地を巡って起きたいわゆる「砂川事件」の裁判で、「アメリカ軍の駐留は憲法違反」と判断した1審の判決のあとに当時の最高裁判所の長官がアメリカ側に1審の取り消しを示唆したとする新たな文書が見つかりました。 研究者は、司法権の独立を揺るがす動きがあったことを示す資料として注目しています。 「砂川事件」は、昭和32年7月、東京のアメリカ軍・旧立川基地の拡張計画に反対したデモ隊が基地に立ち入り、学生ら7人が起訴されたもので、1審の東京地方裁判所は、「アメリカ軍の駐留は戦力の保持を禁じた憲法9条に違反する」として7人全員に無罪を言い渡しました。 1審の9か月後、最高裁判所大法廷は、「日米安全保障条約はわが国の存立に関わる高度の政治性を有し、司法審査の対象外だ」として15人の裁判官の全員一致で1審判決を取り消しました。 今回見つかった文書は、最高裁判決の4か月前の昭和34年8月、ア
中山信弘東大名誉教授ら法学者・実務家6名の連名で「出版者の権利のあり方に関する提言」が公表された。これまでの著作隣接権や電子出版権の主張をくみつつ、落としどころになりそうな提言だ。 著作隣接権、電子出版権――紆余曲折を経ながら長らく議論されてきた出版物の権利について、いよいよ決着の時がやってきそうだ。 4月4日、中山信弘東大名誉教授ら法学者・実務家6名の連名で、出版物の権利について新たな提言が公表された。「出版者の権利のあり方に関する提言」としてまとめられたものは同日、明治大学のWebサイト上でクリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンス(CC-BY-ND)で公開された。同日に開催されたいわゆる中川勉強会(衆議院議員の中川正春氏が座長を務める『印刷文化・電子文化の基盤整備 勉強会』)でも中山氏らが招かれる形でこの提言が伝えられた。 同提言は、中山氏が研究代表者となっている明治大学知的財産法政
大相撲の八百長問題で不当に解雇されたとして、元蒼国来(29)=本名・恩和図布新(おんわとうふしん)=が日本相撲協会に幕内力士としての地位の確認と給料の支払いなどを求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。古久保正人裁判長は解雇を無効と判断、元蒼国来側の請求を認めた。 元蒼国来側は訴訟で、自身の八百長関与を認めた元力士2人の証言は信用できないとして、八百長の事実を否定。また、引退勧告処分に従わなかったことを理由とする解雇は、手続き上の違法があると主張していた。 訴状によると、協会の特別調査委員会は元蒼国来が平成22年の5月場所で八百長を行ったと認定。元蒼国来は引退勧告に応じなかったため、23年4月に解雇処分を受けた。 八百長問題をめぐっては、元星風(29)=元十両、本名・ボルド・アマラメンデ=も同様の訴訟を起こしたが、1、2審とも八百長行為を認定、請求を退けた。元星風側は最高裁に上告中。
【山本孝興】「一票の格差」が最大で2・43倍となった昨年12月の衆院選をめぐり、弁護士グループが「法の下の平等を定めた憲法に違反する」として選挙の無効(やり直し)を求めた訴訟で、広島高裁(筏津〈いかだつ〉順子裁判長)は25日、広島1、2区について「違憲で無効」とする判決を言い渡した。弁護士らが1962年に始めた一票の格差訴訟で、無効判決が出たのは全国で初めて。 広島1区の当選者は岸田文雄氏(自民)、2区は平口洋氏(同)。ただ、被告の広島県選挙管理委員会は上告するとみられ、最高裁で無効判決が確定しない限り失職はしない。高裁は選挙時の区割り規定そのものを違憲と判断したが、無効訴訟は選挙区ごとに起こす形式となっており、対象となった広島1、2区のみを無効とした。 一連の訴訟では、二つの弁護士グループが全国14の高裁・支部すべてで、計31選挙区を対象に提訴。6日の東京高裁を始め、5高裁・支部も違
神奈川県臨時特例企業税通知処分取消等請求事件の続きです。 しばし、考える時間を設けてみましたが、件の最高裁判決について若干の疑問点があります。 まずは 普通地方公共団体が課することができる租税の税目,課税客体,課税標準,税率その他の事項については,憲法上,租税法律主義(84条)の原則の下で,法律において地方自治の本旨を踏まえてその準則を定めることが予定されており,これらの事項について法律において準則が定められた場合には,普通地方公共団体の課税権は,これに従ってその範囲内で行使されなければならない。 とした箇所。 前提として、自治体は課税権の主体となることが憲法上予定されているが、憲法上予定されているのはそれのみで、その他の細則的事項は法律事項である、という認定があります。 上記引用箇所では「法律において地方自治の本旨を踏まえてその準則を定めることが予定されており」とされていますが、それって
覚醒剤密売のイラン国籍被告 刑事裁判の判決は懲役10年 覚醒剤などの密売を繰り返したとして、麻薬特例法違反などの罪に問われたイラン国籍のランジバル・モハンマッド被告(42)に対する裁判員裁判の判決公判が19日、京都地裁で開かれた。樋口裕晃裁判長は「密売意欲は顕著」などとして、懲役10年、罰金500万円、追徴金約1655万円(求刑懲役14年、罰金600万円、追徴金約1655万円)を言い渡した。 またランジバル被告は12日の初公判で、樋口裁判長に対し「ちゃんと仕事しろよ」「殺してやる」などと暴言を吐いた。このため樋口裁判長は19日の判決公判後、「法定等の秩序維持に関する法律」に基づき、秩序を乱した人を裁く「制裁裁判」を非公開で開き、法廷の威信を傷つけたとして、監置5日間とする処分を決定した。 「監置」は裁判所が科する制裁の一つで、監置場に留置される。法曹関係者によると、制裁裁判が開かれた
1 前科に係る犯罪事実及び前科以外の他の犯罪事実を被告人と犯人の同一性の間接事実とすることの許否 2 前科に係る犯罪事実及び前科以外の他の犯罪事実を被告人と犯人の同一性の間接事実とすることが許されないとされた事例 1 前科に係る犯罪事実や前科以外の他の犯罪事実を被告人と犯人の同一性の間接事実とすることは,これらの犯罪事実が顕著な特徴を有し,かつ,その特徴が証明対象の犯罪事実と相当程度類似していない限りは,許されない。 2 前科に係る住居侵入,窃盗,現住建造物等放火等の犯罪事実及び前科以外の他の住居侵入,窃盗等の犯罪事実を,証明対象の住居侵入,窃盗,窃盗未遂,現住建造物等放火の犯人と被告人の同一性の間接事実とすることは,これらの犯罪事実に顕著な特徴があるとはいえないなどの事情(判文参照)の下では,被告人に対して実証的根拠の乏しい人格的評価を加え,これをもとに犯人が被告人であるという合理性に乏
日本の法の世界では,「要件=効果」モデルを核心とする「法的思考」に収まる形で“ナマの”紛争を再構成することが自らの活動を法的なものにすると考えられている.民事訴訟において裁判官は,この枠組みに即して権利(不法行為責任の場合なら損害賠償請求権)の有無を判断することになるわけである.このような法的枠組みと,紛争当事者からの非‐法的な期待や意味付けとが齟齬を来すとき,社会からの自律を標榜する法は一体いかなる仕方でこれに対処しているのか? 本論文は,不法行為責任をめぐる近年の特徴的な事例――制裁的な慰謝料・懲罰的損害賠償を求めた裁判や,死亡した被害者の命日払いでの定期金(分割払い)方式による賠償請求――の分析を通じて,この問いに答えようとするものである.これらのケースは,法専門家によって広く共有された諸前提――不法行為制度が果たすべき目的に関する設定や,定期金方式を認めることの意義など――と相容れ
Ronald Dworkin, a legal philosopher and public intellectual of bracingly liberal views who insisted that morality is the touchstone of constitutional interpretation, died on Thursday in London. He was 81. The cause was leukemia, said Richard Revesz, the dean of the New York University School of Law, who announced the death. Professor Dworkin had been a member of the school’s faculty for many years
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