見積もりを出す際、条件(スペック)が不明確なところは「できるだけ明確になるまで問い合わせる」か「高めのスペック(松)と仮定して見積もる」という企業が日本では多数派を占める。このことは日経ものづくりによる2022年10月の調査で明らかになった。その原因が何かを、日本金型工業会専務理事の中里栄氏に聞いてみた。 中里氏も以前から、金型メーカーの多くが「不明点を問い合わせるか、“松”と仮定して見積もる」傾向について認識していたという。その原因は「最初に出した見積もりから価格が増える方向の変更は、日本の発注者は絶対に認めてくれないため」(中里氏)。したがって受注側は、あとでコスト上昇要因が発生したときに損をするリスクがあり、これを回避するため不明点をできる限り無くすか、高めの見積もりにしておかざるを得ない。同氏は「日本国内ではこれまでそれで通ってきたかもしれないが、『優越的地位の乱用』に他ならない」