昨年11月、経済協力開発機構(OECD)は所得格差に関する最新情報を公表した。金融危機の起きた2007年から10年、所得格差はさらに広がったのだ。 OECDの報告書によれば、35カ国の賃金の中央値は2007年よりも低く、賃金所得者の下位10%は2007年よりも賃金が3.6%も下がっていたが、富裕層である上位10%の所得は増加した。この報告書はOECD先進国に関するものだが、グローバル化が進む中で影響を受けない国は世界のどこにもなく、開発途上国での所得格差はさらに広がっていると言える。また賃金が伸び悩んだのは日本だけではなく、ギリシャ、ポルトガル、スペインなど景気後退が著しかった国では労働者の賃金は軒並み減少した。 OECD諸国の中で所得格差が大きいのはチリ、そしてメキシコだが、その次にくるのはアメリカだ。所得分配の不平等さを測る指標のジニ係数では、平等であるほど数字は0に近くなり、1人の人