中国の全人代=全国人民代表大会で導入が決定された香港の「国家安全法制」。中国の一部でありながら、高度な自治を保障し中国とは異なる制度を認めてきた「一国二制度」の崩壊とも指摘されている。香港の市民の間では「香港が香港でなくなってしまう」というかつてない危機感が高まっている。 (香港支局長 若槻真知) 「香港を守れ!」「悪法を許すな!」 5月24日午後。中国が香港に「国家安全法制」を導入する方針を明らかにした直後の日曜日だった。香港島の繁華街では、市民の怒りがわきあがっていた。 どれだけの人が集まるだろうかと、その場所に立つまで半信半疑だった。 香港では、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため9人以上で集まることが禁止され、集まるだけで罪に問われるからだ。 しかし、地下鉄駅を出て驚いた。通りには身動きがとれなくなるほど、人が集まり、「『一国二制度』がなくなってしまう」などと悲鳴のような声を上げ